英語の文法学習で、「受動態」と「文型」って、それぞれ別々に勉強することが多いですよね。でも、ふと「あれ?どんな文でも受動態にできるんだっけ?」「SVOOとかSVOCの文を受動態にするとどうなるの?」って疑問に思ったことはありませんか? 受動態の作り方は覚えたけれど、どの文型で使えるのか、そして受動態にした後の文の形はどうなるのかって、意外と見落としがちなポイントかもしれません。
この記事では、そんな「受動態と文型の関係」にスポットライトを当てて、謎を解き明かしていきます!まず、受動態の基本と英語の5文型をおさらいし、どの文型が受動態にできて、どの文型ができないのか、その理由をしっかり解説。さらに、受動態にできる文型(第3, 4, 5文型)について、それぞれ受動態への書き換え方を、注意点も交えながら詳しく見ていきます。この記事を読めば、受動態と文型のつながりがクリアになり、英文法の理解がさらに深まりますよ!

文型と受動態…考えたことなかったけど、確かにどういう関係なんだろう?
受動態と文型の基本をおさらいしよう!
まずは、本題に入る前に、「受動態」と「英語の基本文型」について、それぞれの基本的な考え方をおさらいしておきましょう。この2つの基礎知識が、今回のテーマを理解するための土台になります。
受動態の基本ルール再確認:「~される」側が主語、be動詞+過去分詞
受動態 (Passive Voice) とは、動作を「受ける」人やモノが主語になる文の形でしたね。「~される」「~された」という意味を表し、「主語 + be動詞 + 過去分詞 (+ by 動作主)」というのが基本構造でした。
- This cake was made by my sister. (このケーキは私の姉によって作られた。)
- 主語 “This cake” は「作られる」側。
- “was” (be動詞の過去形) + “made” (makeの過去分詞) の形。
そして、能動態(「する」側が主語)の文を受動態に書き換える手順は、
- 能動態の目的語(O)を、受動態の主語(S)にする。
- 能動態の動詞(V)を、「be動詞 + 過去分詞」に変える(時制を合わせる)。
- 能動態の主語(S)を、「by + 動作主」の形にして、必要なら付け加える(省略多し)。
という流れでしたね。この「能動態の目的語が受動態の主語になる」という点が、文型との関係を考える上で非常に重要になってきます。
英語の基本5文型をおさらい:SV, SVC, SVO, SVOO, SVOC
次に、英語の文の基本的な骨組みである「5文型」について、簡単に復習しておきましょう。文型とは、文の要素(主語S, 動詞V, 目的語O, 補語C)の並び方のパターンのことです。
- 第1文型 (SV): 主語 + 動詞
- 例: Birds fly. (鳥は飛ぶ。)
- 動詞だけで文が成り立つか、後ろに副詞(句)などが続く。
- 第2文型 (SVC): 主語 + 動詞 + 補語
- 例: She is a teacher. (S=C) (彼女は先生です。)
- 例: He looks happy. (S=C) (彼は幸せそうだ。)
- 「主語 = 補語」の関係が成り立つ。補語Cは主語Sを説明する。
- 第3文型 (SVO): 主語 + 動詞 + 目的語
- 例: I play tennis. (私はテニスをする。)
- 「~を」「~に」にあたる目的語Oが必要。
- 第4文型 (SVOO): 主語 + 動詞 + 間接目的語 + 直接目的語
- 例: He gave me a book. (彼は私に本をくれた。)
- 目的語が2つ。「(人)に」「(物)を」の順。IO = Indirect Object, DO = Direct Object。
- 第5文型 (SVOC): 主語 + 動詞 + 目的語 + 補語
- 例: They call him Ken. (O=C) (彼らは彼をケンと呼ぶ。)
- 例: Music makes me happy. (O=C) (音楽は私を幸せにする。)
- 「目的語 = 補語」の関係が成り立つ。補語Cは目的語Oを説明する。
この5つの文型が、英語の文構造の基本となります。
各文型についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてくださいね!
受動態にできるのは「目的語(O)を持つ文型」という大原則!
さて、受動態の基本と5文型をおさらいしたところで、いよいよ本題の関係性が見えてきます。
受動態の作り方のステップ1は、「能動態の目的語(O)を、受動態の主語(S)にする」でしたよね?
ということは…?
そうです!そもそも目的語(O)を持たない文型の文は、受動態の主語になるものがないので、受動態にすることができない、ということなんです!
5文型の中で、目的語(O)を持つのはどの文型でしょうか?
- 第1文型 (SV): 目的語なし
- 第2文型 (SVC): 目的語なし(Cは補語)
- 第3文型 (SVO): 目的語Oあり!
- 第4文型 (SVOO): 目的語Oが2つあり! (IO と DO)
- 第5文型 (SVOC): 目的語Oあり!
つまり、原則として受動態にできるのは、目的語を持つ第3文型(SVO)、第4文型(SVOO)、第5文型(SVOC)の文ということになります!
そして、目的語を持たない第1文型(SV)と第2文型(SVC)の文は、受動態にできない、というのが大原則です。
これは、前回の記事で学んだ「自動詞(目的語を取らない動詞)は受動態にできない」というルールとも繋がっていますね。第1文型と第2文型で使われる動詞は、基本的に自動詞(または自動詞としての用法)だからです。
この大原則を頭に入れて、次のセクションで各文型がどのように受動態になるのか(または、なれないのか)を詳しく見ていきましょう!

そういうことか!目的語がないと受動態の主語になれないから、SVO、SVOO、SVOC しか受動態にできないんですね!スッキリしました!
文型別にみる受動態への書き換え:SVO, SVOO, SVOCを徹底解説!
それでは、受動態にできる第3文型(SVO)、第4文型(SVOO)、第5文型(SVOC)について、それぞれどのように受動態の文に書き換えられるのか、具体的な手順と注意点を詳しく解説していきます。また、受動態にできない第1文型(SV)と第2文型(SVC)についても、なぜできないのかを再確認しましょう。
第3文型 (SVO) の受動態:基本パターンを確実に!
【能動態】 S + V (他動詞) + O
【受動態】 O + be動詞 + V(過去分詞) (+ by S)
第3文型(SVO)は、目的語(O)を一つだけ持つ最も基本的な文型です。この文型を受動態にするのが、受動態の基本パターンとなります。手順は先ほどおさらいした通りです。
【例文で確認】
- 能動態: My father built this house. (父がこの家を建てた。)
S: My father / V: built / O: this house
→ 受動態: This house was built by my father. (この家は父によって建てられた。)- O → S: This house
- V(built: 過去) → be+Vpp: was built
- S → by S: by my father
- 能動態: Many people use smartphones now. (今や多くの人々がスマートフォンを使う。)
S: Many people / V: use / O: smartphones
→ 受動態: Smartphones are used by many people now. (スマートフォンは今や多くの人々に使われている。)- O → S: Smartphones
- V(use: 現在) → be+Vpp: are used
- S → by S: by many people
- 能動態: The news surprised everyone. (その知らせは皆を驚かせた。)
S: The news / V: surprised / O: everyone
→ 受動態: Everyone was surprised at [by] the news. (皆その知らせに驚いた。)- O → S: Everyone
- V(surprised: 過去) → be+Vpp: was surprised
- S → by S (ここでは at/by the news) ※感情動詞の受動態でby以外を使う例
第3文型の受動態は、能動態の目的語を主語にするだけなので、比較的シンプルですね。これが全ての受動態の基礎となります。
第4文型 (SVOO) の受動態:目的語が2つ!どうなる?
【能動態】 S + V + IO (間接目的語:~に) + DO (直接目的語:~を)
第4文型(SVOO)は、「人」を表すことが多い間接目的語(IO)と、「物」を表すことが多い直接目的語(DO)の、2つの目的語を持つのが特徴です。give, show, tell, teach, send, buy, make など、「(人)に(物)を~する」という意味の動詞が使われます。
目的語が2つあるということは…? そうです、原則として、IOとDOのどちらを主語にするかで、2通りの受動態を作ることができるんです!
1. 間接目的語 (IO) を主語にする場合:「(人)は~される」
【受動態】 IO + be動詞 + V(過去分詞) + DO (+ by S)
IO(主に人)を主語にし、DO(主に物)は動詞の後ろにそのまま残す形です。これが一般的に最もよく使われる、自然な形の受動態です。
【例文】
- 能動態: He gave me this book. (彼は私にこの本をくれた。)
S: He / V: gave / IO: me / DO: this book→ 受動態 (IO主語): I was given this book (by him). (私は(彼から)この本を与えられた。)
- IO(me) → S: I
- V(gave: 過去) → be+Vpp: was given
- DO(this book) はそのまま残る
- S(He) → by S: by him (省略可)
- 能動態: My grandfather told us an interesting story. (祖父は私たちに面白い話をしてくれた。)
S: My grandfather / V: told / IO: us / DO: an interesting story→ 受動態 (IO主語): We were told an interesting story by my grandfather. (私たちは祖父から面白い話を聞かされた。)
- IO(us) → S: We
- V(told: 過去) → be+Vpp: were told
- DO(an interesting story) はそのまま残る
- S(My grandfather) → by S: by my grandfather
- 能動態: The teacher teaches them English. (その先生は彼らに英語を教える。)
- S: The teacher / V: teaches / IO: them / DO: English
→ 受動態 (IO主語): They are taught English by the teacher. (彼らはその先生に英語を教えられている。)
- IO(them) → S: They
- V(teaches: 現在) → be+Vpp: are taught
- DO(English) はそのまま残る
- S(The teacher) → by S: by the teacher
2. 直接目的語 (DO) を主語にする場合:「(物)は~される」+ 前置詞 to/for
【受動態】 DO + be動詞 + V(過去分詞) + to/for + IO (+ by S)
DO(主に物)を主語にする場合は、残ったIO(主に人)の前に、適切な前置詞(多くは “to” または “for”)を補う必要があることが多いです。これは、能動態の第4文型を第3文型に書き換えるルール(例: give me a book → give a book to me)と連動しています。
【例文】
- 能動態: He gave me this book. (彼は私にこの本をくれた。)
→ 受動態 (DO主語): This book was given to me (by him). (この本は(彼によって)私に与えられた。)- DO(this book) → S: This book
- V(gave: 過去) → be+Vpp: was given
- IO(me) の前に to を補う
- S(He) → by S: by him (省略可)
- 能動態: She sent him a letter. (彼女は彼に手紙を送った。)
→ 受動態 (DO主語): A letter was sent to him (by her). (手紙が(彼女によって)彼に送られた。)- DO(a letter) → S: A letter
- V(sent: 過去) → be+Vpp: was sent
- IO(him) の前に to を補う
- 能動態: My mother bought me a new dress. (母は私に新しいドレスを買ってくれた。)
→ 受動態 (DO主語): A new dress was bought for me by my mother. (新しいドレスが母によって私のために買われた。)- DO(a new dress) → S: A new dress
- V(bought: 過去) → be+Vpp: was bought
- IO(me) の前に for を補う ※buyの場合はfor
【to を使う動詞 / for を使う動詞】
DOを主語にした受動態で、IOの前に to/for のどちらを使うかは、元の動詞によって決まります。
- to を使う動詞の例: give, show, tell, teach, send, lend, pass, sell, write, offer など(相手に到達するイメージ)
- for を使う動詞の例: buy, make, cook, get, find, choose, build など(相手のためにするイメージ)
【注意点】
- IOを主語にする方が一般的: 通常、第4文型の受動態は、IO(人)を主語にする方が自然でよく使われます。DO(物)を主語にする形は、特にその「物」を強調したい場合などに使われます。
- 動詞によってはDOを主語にできないものも: envy(うらやむ)、spare(~に時間を割く)、save(~の手間を省く)などの動詞は、通常、IOを主語とする受動態しか作れません。(例: I was envied my success. は可能だが、My success was envied to me. は不可)
- buy, make, cook など for を使う動詞: これらの動詞では、IO(人)を主語にする受動態はあまり一般的ではありません。DO(物)を主語にする方が自然です。
- △ I was bought a new dress by my mother. (少し不自然)
- 〇 A new dress was bought for me by my mother.
第4文型の受動態は少し複雑ですが、「人を主語にするのが基本」「物を主語にする時は to/for が必要かも」と覚えておくと良いでしょう。
第5文型 (SVOC) の受動態:O=Cの関係はどうなる?
【能動態】 S + V + O + C (目的語=補語)
【受動態】 O + be動詞 + V(過去分詞) + C (+ by S)
第5文型(SVOC)は、目的語(O)と、その目的語を説明する補語(C)を持つのが特徴です。「O = C」の関係が成り立ちます。call O C (OをCと呼ぶ), make O C (OをCにする), keep O C (OをCの状態に保つ), find O C (OがCだとわかる), want O C (OにCの状態になってほしい) などの動詞が使われます。
第5文型の受動態では、能動態の目的語(O)が主語になり、補語(C)はそのまま動詞の後ろに残ります。
【例文で確認】
- 能動態: We call the dog Pochi. (私たちはその犬をポチと呼ぶ。)
S: We / V: call / O: the dog / C: Pochi (O=C)
→ 受動態: The dog is called Pochi (by us). (その犬は(私たちに)ポチと呼ばれている。)- O(the dog) → S: The dog
- V(call: 現在) → be+Vpp: is called
- C(Pochi) はそのまま残る
- S(We) → by S: by us (通常省略)
- 能動態: The news made her sad. (その知らせは彼女を悲しませた。)
S: The news / V: made / O: her / C: sad (O=C)
→ 受動態: She was made sad by the news. (彼女はその知らせによって悲しませられた。)- O(her) → S: She
- V(made: 過去) → be+Vpp: was made
- C(sad) はそのまま残る
- S(The news) → by S: by the news
- 能動態: You should keep your room clean. (あなたは部屋をきれいに保つべきだ。)
S: You / V: keep / O: your room / C: clean (O=C)
→ 受動態: Your room should be kept clean (by you). (あなたの部屋はきれいに保たれるべきだ。)- O(your room) → S: Your room
- V(keep: 原形 ※助動詞の後) → 助動詞+be+Vpp: should be kept
- C(clean) はそのまま残る
- S(You) → by S: by you (通常省略)
補語(C)が原形不定詞の場合の最重要ルール:「to」が復活する!
第5文型(SVOC)で特に注意が必要なのは、補語(C)が原形不定詞(toのない動詞の原形)の場合です。これは、知覚動詞 (see, hear, feel など) や 使役動詞 (make, let, have) の能動態で使われますよね。
これらの文を受動態にすると、補語だった原形不定詞の前に “to” が現れて、「to不定詞」の形になるという非常に重要なルールがあります!
【例文】
- 知覚動詞の例:
能動態: I saw him enter the room. (私は彼が部屋に入るのを見た。) ※C=enter (原形不定詞)
→ 受動態: He was seen to enter the room (by me). (彼は部屋に入るのを見られた。) ※C=to enter (to不定詞) - 使役動詞 make の例:
能動態: My parents made me clean my room. (両親は私に部屋を掃除させた。) ※C=clean (原形不定詞)
→ 受動態: I was made to clean my room (by my parents). (私は(両親に)部屋を掃除させられた。) ※C=to clean (to不定詞)
なぜ “to” が復活するのか?
能動態のSVOCで原形不定詞が使われるのは、知覚動詞や使役動詞が持つ特別な力によるものです。しかし、受動態になって動詞が “be seen” や “be made” に変わると、その特別な力が失われるため、不定詞の本来の形である “to不定詞” に戻る、と考えると分かりやすいでしょう。
【例外:let と have】
- let O C (原形): 受動態では “be allowed to do” や “be permitted to do” (~することを許される)という別の表現に置き換えられるのが普通です。”be let to do” という形は通常使いません。
- 能動態: My parents let me go out. (両親は私に外出させてくれた。)
- 受動態: I was allowed to go out (by my parents). (私は(両親に)外出することを許された。)
- have O C (原形): 使役の have は、通常、受動態にしません。もし「~してもらう」という意味を表したい場合は、能動態の “have O 過去分詞” (例: I had my hair cut.) を使うのが一般的です。
SVOCの受動態、特に補語が原形不定詞のケースは、テストやTOEICでも頻出の重要ポイントです!「”to” が復活する!」としっかり覚えておきましょう(let と have は例外)。
受動態にできない文型:第1文型(SV)と第2文型(SVC)
最後に、受動態にできない文型、第1文型(SV)と第2文型(SVC)について再確認しましょう。
- 第1文型 (SV): 主語 + 動詞 (自動詞)
- 例: The sun rises in the east. (太陽は東から昇る。)
- 目的語がないため、受動態の主語になるものがない。したがって受動態不可。
- 第2文型 (SVC): 主語 + 動詞 (be動詞など) + 補語
- 例: She became a doctor. (彼女は医者になった。)
- 例: This soup tastes good. (このスープはおいしい味がする。)
- 目的語がないため、受動態の主語になるものがない。したがって受動態不可。(補語の “a doctor” や “good” は目的語ではないことに注意!)
「目的語(O)がなければ受動態にはできない」。この大原則をしっかり理解しておけば、どの文型が受動態にできて、どれができないのか、迷うことはなくなりますね!
状態を表す seem とか resemble (似ている) は受動態にできないって聞いたことがあります。これも目的語がないからですか?
良い質問ですね! resemble は他動詞で目的語を取る (例: resemble his father 彼のお父さんに似ている) のですが、通常受動態にはしません。これは、resemble が「似ている」という状態を表す動詞であり、「似られる」という受け身の動作が考えにくいためです。また、have (持っている) も目的語を取りますが、状態を表す場合は受動態にしません。seem は自動詞なので受動態にできませんね。このように、目的語を取る他動詞でも、意味的に受動態が不自然な動詞(主に状態を表すもの)もある、という点も覚えておくと良いでしょう。

第4文型と第5文型の受動態、ややこしいけどルールが分かれば大丈夫そう!特に「toが復活する」ルールはしっかり覚えます!
受動態の文型はどうなる?受動態の文の構造を分析
能動態の各文型がどのように受動態になるかを見てきました。では、出来上がった「受動態の文」自体は、英語の5文型のどれにあたるのでしょうか?少し発展的な内容になりますが、受動態の文構造について考えてみましょう。
受動態の文は第1文型(SV)か第2文型(SVC)と見なされることが多い
受動態の基本構造は「主語 + be動詞 + 過去分詞 (+ by 動作主)」でしたね。この構造を5文型に当てはめて考えてみましょう。
- by 動作主 の部分: これは「~によって」という意味を表す副詞句 (M) と見なされ、文の主要素(S, V, O, C)には含まれません。
- 主語 + be動詞 + 過去分詞 の部分: ここが文の骨格になります。
ここで、「be動詞 + 過去分詞」の部分の解釈がポイントになります。
多くの場合、過去分詞は「~された」という状態を表す形容詞のような働きをしていると考えることができます。すると、「主語 + be動詞 + 過去分詞(形容詞的な補語)」という形になり、これは第2文型 (SVC) の構造に近いと解釈できます。(S = C の関係)
例:
- This house was built. (この家は建てられた。)
- S: This house / V: was / C: built (建てられた状態) → SVC
- English is spoken here. (ここでは英語が話されている。)
- S: English / V: is / C: spoken (話されている状態) / M: here → SVC
一方、文脈によっては、be動詞と過去分詞を合わせて一つの動詞句 (V) と捉え、それ以外に目的語も補語もない場合は、第1文型 (SV) と解釈することもあります。
例:
- The door was opened. (ドアが開けられた。)
- S: The door / V: was opened → SV
どちらの解釈が絶対的に正しいというわけではありませんが、一般的には、受動態の文は、by句などを除いた主要部分がSVCまたはSVの構造になっていると考えると、文全体の構造を捉えやすくなります。
第4・第5文型から作られた受動態の文型は?
では、目的語や補語が残る第4文型・第5文型の受動態はどうでしょうか?
- 第4文型 → 受動態
- IO主語: I was given this book.
- S: I / V: was given / O?: this book → SVO (第3文型) ?
- あるいは、S: I / V: was / C: given this book (この本を与えられた状態) → SVC ?
- DO主語: This book was given to me.
- S: This book / V: was given / M: to me → SV (+M) (第1文型) ?
- あるいは、S: This book / V: was / C: given (to me) (私に与えられた状態) → SVC ?
- IO主語: I was given this book.
- 第5文型 → 受動態
- The dog is called Pochi.
- S: The dog / V: is called / C: Pochi (S=Cの関係が維持) → SVC (第2文型)
- He was seen to enter the room.
- S: He / V: was seen / C: to enter the room (彼が~するのを見られた状態) → SVC (第2文型)
- The dog is called Pochi.
このように、元の文型によって受動態の文構造の解釈も少し複雑になります。特に第4文型の受動態は、残った目的語をどう捉えるかで解釈が分かれることもあります。
しかし、文型を厳密に分類すること自体が目的ではありません。大切なのは、受動態の文が「主語 + be動詞 + 過去分詞」を核として、そこに元の文のどの要素がどのように残っているのか(あるいはby句として付け加わっているのか)を正しく理解することです。
まずは、「受動態はSVCかSVの構造が多い」という大枠を掴んでおけば、文全体の構造理解には十分役立つでしょう。

受動態の文自体が何文型かって、あまり考えたことなかったです!SVCとかSVになることが多いんですね。勉強になります!
まとめ:受動態と文型の関係を整理して理解を深めよう!
今回は、「受動態と文型」という、英語学習者が意外と見落としがちなテーマについて、基礎から応用まで詳しく掘り下げてみました。最後に、今回の重要なポイントをまとめて、理解を確実にしましょう!
- 受動態の大原則: 目的語(O)を持つ文型(第3, 4, 5文型)のみ、原則として受動態にできる。
- 受動態にできない文型: 目的語を持たない第1文型(SV)と第2文型(SVC)は受動態にできない。(自動詞は受動態不可)
- 各文型の受動態化:
- 第3文型(SVO) → O + be Vpp (+ by S) : 基本パターン。
- 第4文型(SVOO) → IO + be Vpp + DO (+ by S) (こちらが一般的)
→ DO + be Vpp + to/for IO (+ by S) (IOの前に to/for が必要) - 第5文型(SVOC) → O + be Vpp + C (+ by S) (補語Cはそのまま残る)
(※能動態のCが原形不定詞の場合、受動態では to不定詞 になるルールに注意!let, haveは例外あり)
- 受動態の文の構造: by句などを除くと、多くは第2文型(SVC)または第1文型(SV)と見なすことができる。(S + be動詞 + 過去分詞(補語/動詞句))
- 状態動詞の注意: resemble や have (所有) など、目的語をとる他動詞でも、状態を表すものは受動態にしないことが多い。
受動態と文型の関係を理解することは、単に文法知識を深めるだけでなく、なぜその受動態の形になるのか、どんな文が受動態にできて、どんな文ができないのか、という根本的な理由を知ることにつながります。これにより、より自信を持って英文を読んだり、書いたりできるようになるはずです。
特に第4文型と第5文型の受動態は、形が少し複雑で注意点も多いですが、ルールをしっかり押さえれば怖くありません。今回の内容を参考に、ぜひ色々な文型を受動態にする練習をしてみてくださいね!

文型ごとに受動態の作り方が整理できてよかったです!これでもう迷わない…はず!練習あるのみですね!
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