英語の長文読解や英作文で、関係代名詞の前に「カンマ(,)」が付いているのを見て、「このカンマって何の意味があるの?」「カンマがない時と何が違うの?」「カンマの後ろは that は使えないって聞いたけど、なんで?」なんて、頭を悩ませた経験はありませんか? 関係代名詞自体も難しいのに、カンマが付くとさらに複雑に見えて、苦手意識を持っている方も多いかもしれませんね。
このカンマ付きの関係代名詞の使い方は「非制限用法(ひせいげんようほう)」(または継続用法)と呼ばれ、カンマなしの「制限用法」とは少し違う、特別な役割を持っているんです。この記事では、そんな関係代名詞の非制限用法について、基本的な考え方から、カンマが持つ意味、制限用法との決定的な違い、そして使い方や注意点まで、初心者の方にも「なるほど!」とスッキリ理解できるように、基礎からじっくり解説していきます。非制限用法をマスターすれば、英文のニュアンスをより深く正確に捉えられるようになり、表現の幅も広がりますよ!

カンマがあるのとないのとで、意味が違うんですか?!知らなかった…!難しそう…。
関係代名詞の非制限用法とは?基本と「カンマ」の意味
まずは、「非制限用法」がどんなもので、通常の(カンマなしの)関係代名詞の使い方と何が違うのか、基本的なところからしっかり押さえていきましょう。キーワードは「カンマ」です!
まずはおさらい:関係代名詞の基本と「制限用法」
非制限用法を理解するために、まずは通常のカンマなしの関係代名詞の使い方、つまり「制限用法(せいげんようほう)」について簡単におさらいしましょう。
関係代名詞 (who, which, that など) は、「接続詞」と「代名詞」の2つの働きを兼ね、前の名詞(先行詞)を説明する形容詞節を作るのでしたね。
そして、制限用法の関係代名詞節は、先行詞が「どのような人・物なのか」を特定・限定する働きをします。つまり、たくさんの候補の中から「~する(ような)…」と絞り込む役割です。この場合、関係代名詞の前にはカンマ(,)は付きません。
【制限用法の例】
- I want to meet the woman who wrote this book. (私はこの本を書いた女性に会いたい。)
- 世界に女性はたくさんいるけれど、その中で「どの女性?」→「この本を書いた」女性、と限定しています。関係詞節がないと、どの女性か分かりません。
- The computer which I bought yesterday is very fast. (私が昨日買ったコンピューターはとても速い。)
- どのコンピューター? → 「私が昨日買った」もの、と特定しています。
このように、制限用法は「どの~か」を特定するために必要不可欠な情報を提供する役割を果たします。カンマなしで、先行詞に直接くっついているイメージです。
非制限用法の定義:カンマ(,)で区切って「補足説明」を加える!
さて、いよいよ本題の非制限用法 (Non-restrictive Use / Non-defining Use) です。これは、制限用法とは異なり、先行詞について「追加情報」を補足的に付け加える働きをします。
【形】
非制限用法の最大の特徴は、関係代名詞の前に必ずカンマ(,)が置かれることです。文の途中に挿入される場合は、関係詞節の後ろにもカンマが置かれます。
- 先行詞, who/which …
- 先行詞, who/which …, …
【働き】
非制限用法では、先行詞はすでに特定されている(固有名詞や、文脈でどの人・物か分かっている)ことが多く、関係詞節はその先行詞について「ちなみに~なんだけど」「ところで~」「そしてその人/物は~」という感じで、追加の情報を付け足す役割を果たします。制限用法のように先行詞を「限定」するわけではないので、「非」制限用法と呼ばれます。
【例文】
- I spoke to Mr. Tanaka, who is our new boss. (私は田中さんと話しましたが、彼は私たちの新しい上司です。)
- 先行詞: Mr. Tanaka (固有名詞なので、すでに特定されている)
- 関係詞節 “who is our new boss” は、田中さんについての追加情報を補足しています。「どの田中さんか」を限定しているわけではありません。
- This is my favorite book, which I bought in London. (これは私のお気に入りの本ですが、それはロンドンで買いました。)
- 先行詞: my favorite book (「私のお気に入りの」と特定されている)
- 関係詞節 “which I bought in London” は、その本に関する補足説明です。
- My brother, who lives in Osaka, is coming to visit me next week. (私の兄(彼は大阪に住んでいるのですが)は、来週私を訪ねて来ます。)
- 先行詞: My brother (話者にとって特定の一人)
- 関係詞節 “who lives in Osaka” が文の途中に挿入され、兄についての補足情報を加えています。カンマが前後にある点に注目。
カンマ(,)が持つ意味:区切り・接続・追加情報
非制限用法で使われるカンマ(,)は、単なる記号ではなく、文の意味を理解する上で重要な役割を持っています。
- 区切り: カンマがあることで、「ここから先行詞についての補足説明が始まりますよ」という合図になります。文の流れを一旦区切り、追加情報に注意を促します。
- 接続(継続): カンマの後ろの関係詞節は、前から後ろへと読み進める中で、「そして(but, and)」「~で、その人/物は」のように、前の内容に情報を付け加えていくような接続詞的なニュアンスを持ちます。だから「継続用法」と呼ばれることもあるんですね。
- 追加情報(補足): カンマで区切られた関係詞節は、文全体の意味を理解する上で必須ではない、あくまで「付け足し」の情報であることを示唆します。(もし関係詞節を取り除いても、文の基本的な意味は通じることが多いです。)
【制限用法との比較】
- 制限用法: My brother who lives in Osaka is a doctor.
- (兄が複数いる可能性があり)「大阪に住んでいる兄は」医者だ、と限定している。カンマなし。この関係詞節がないと、どの兄か分からない。
- 非制限用法: My brother, who lives in Osaka, is a doctor.
- 兄は一人(または特定の一人)で、その兄は「(ところで彼は)大阪に住んでいるのだが、」医者だ、と補足している。カンマあり。関係詞節は追加情報。
このように、カンマがあるかないかで、文の意味合いが大きく変わってくることがあるんです! 非制限用法のカンマは、単なる飾りではなく、意味を伝える重要なサインなんですね。
非制限用法は、会話ではポーズ(間)を置くことで表現されることもありますが、主に書き言葉で明確に区別される用法です。
カンマ一つで意味が変わるなんて、英語って難しいですね…!
そうですよね、最初は戸惑うかもしれません。でも逆に言えば、カンマの使い方一つで、より正確なニュアンスを伝えられるということでもあります。制限用法は「限定」、非制限用法は「補足」という基本的な違いをしっかり意識すれば、だんだん見分けられるようになりますよ!

カンマの意味、やっと分かりました!制限用法は限定で、非制限用法は補足説明なんですね!例文比較で違いがよく分かりました!
関係代名詞の非制限用法の使い方:who, which と注意点
非制限用法の基本的な意味と、制限用法との違いが分かったところで、次は具体的な使い方と、特に注意しなければならない点を見ていきましょう。
先行詞が「人」の場合:who, whose, whom を使う
先行詞が「人」の場合、非制限用法で使う関係代名詞は who (主格), whose (所有格), whom (目的格) です。基本的な形は制限用法と同じですが、必ず前にカンマ(,)が付きます。
- 主格 (who): 先行詞, who + 動詞 …
- I met Professor Sato, who teaches economics at our university. (私は佐藤教授に会いましたが、彼は私たちの大学で経済学を教えています。)
- 先行詞:Professor Sato / 関係詞節:who teaches… (whoが主語)
- My sister, who loves traveling, plans to visit Europe next year. (旅行が大好きな私の姉は、来年ヨーロッパを訪れる計画です。)
- 先行詞:My sister / 関係詞節:who loves… (whoが主語) ※文中に挿入
- I met Professor Sato, who teaches economics at our university. (私は佐藤教授に会いましたが、彼は私たちの大学で経済学を教えています。)
- 所有格 (whose): 先行詞, whose + 名詞 …
- This is Ms. Brown, whose son is a famous actor. (こちらはブラウンさんで、彼女の息子さんは有名な俳優です。)
- 先行詞:Ms. Brown / 関係詞節:whose son is… (whoseがsonを修飾)
- I talked with Ken, whose ideas are always unique. (私はケンと話しましたが、彼のアイデアはいつもユニークです。)
- 先行詞:Ken / 関係詞節:whose ideas are… (whoseがideasを修飾)
- This is Ms. Brown, whose son is a famous actor. (こちらはブラウンさんで、彼女の息子さんは有名な俳優です。)
- 目的格 (whom): 先行詞, whom + 主語 + 動詞 …
- That man, whom I saw at the station yesterday, is my neighbor. (私が昨日駅で見かけたあの男性は、私の隣人です。)
- 先行詞:That man / 関係詞節:whom I saw… (whomはsawの目的語)
- ※非制限用法の目的格では、口語的な who よりもフォーマルな whom が好まれる傾向があります。ただし、who が使われることもあります。
- I recommended the book to my friend, whom I trust very much. (私はその本を友人に勧めましたが、私は彼女(彼)をとても信頼しています。)
- 先行詞:my friend / 関係詞節:whom I trust… (whomはtrustの目的語)
- That man, whom I saw at the station yesterday, is my neighbor. (私が昨日駅で見かけたあの男性は、私の隣人です。)
先行詞が「物・動物」の場合:which, whose を使う
先行詞が「物」や「動物」の場合、非制限用法で使う関係代名詞は which (主格・目的格), whose (所有格) です。これも前にカンマ(,)が付きます。
- 主格・目的格 (which): 先行詞, which + 動詞 … / 先行詞, which + 主語 + 動詞 …
- He gave me this watch, which was a present from his father. (彼は私にこの腕時計をくれましたが、それは彼の父からのプレゼントでした。)
- 先行詞:this watch / 関係詞節:which was… (whichが主語)
- I often visit the park, which has a beautiful lake. (私はよくその公園を訪れますが、そこには美しい湖があります。)
- 先行詞:the park / 関係詞節:which has… (whichが主語)
- She showed me her new bag, which she bought on sale. (彼女は私に新しいバッグを見せてくれましたが、それはセールで買ったものでした。)
- 先行詞:her new bag / 関係詞節:which she bought… (whichはboughtの目的語)
- He gave me this watch, which was a present from his father. (彼は私にこの腕時計をくれましたが、それは彼の父からのプレゼントでした。)
- 所有格 (whose): 先行詞, whose + 名詞 …
- We stayed at a hotel, whose rooms were very spacious. (私たちはホテルに泊まりましたが、その部屋はとても広々としていました。)
- 先行詞:a hotel / 関係詞節:whose rooms were… (whoseがroomsを修飾)
- ※先行詞が物でも所有格は whose を使うのが一般的です。“of which the rooms” や “the rooms of which” という形も可能ですが、whose の方がシンプルでよく使われます。
- I have a cat, whose eyes are blue. (私は猫を飼っていますが、その目は青いです。)
- 先行詞:a cat / 関係詞節:whose eyes are… (whoseがeyesを修飾)
- We stayed at a hotel, whose rooms were very spacious. (私たちはホテルに泊まりましたが、その部屋はとても広々としていました。)
【最重要ルール】非制限用法では “that” は絶対に使えない!
ここが非制限用法を学ぶ上で最も重要なルールと言っても過言ではありません!
非制限用法(カンマ(,)の後ろ)では、関係代名詞 “that” を使うことはできません!
先行詞が人であっても、物・動物であっても、カンマの後ろに関係代名詞を置く場合は、必ず who (人) または which (物・動物) を使います。
【間違いの例】
- × I spoke to Mr. Tanaka, that is our new boss.
- 〇 I spoke to Mr. Tanaka, who is our new boss.
- × This is my favorite book, that I bought in London.
- 〇 This is my favorite book, which I bought in London.
なぜ that は使えないのか?
これには諸説ありますが、一般的には以下のように説明されます。
- that の限定的な性質: 関係代名詞 that は、もともと先行詞を強く「限定」する働きが強いと考えられています。そのため、先行詞について補足的な情報を加える「非」制限用法とは相性が悪い、とされています。
- 区別の明確化: who/which は非制限用法でも使えるのに対し、that を制限用法専用とすることで、両用法を形の上でも区別しやすくするため、という慣習的な理由もあるようです。
理由はともあれ、「カンマの後ろに that は来ない!」というルールは絶対なので、しっかり覚えてください。これは文法問題でも頻出のポイントです!
that は制限用法では人にも物にも使えて便利ですが、非制限用法では使えない、という点をしっかり区別しましょう!
関係代名詞 which の特別な使い方:前の文(節)全体を受ける
非制限用法の which には、もう一つ非常に重要な特別な使い方があります。それは、特定の先行詞(名詞)だけでなく、前にある文(節)の内容全体、あるいはその一部(句)を先行詞として受けることができる、というものです。
この場合、which は「そしてそのことは~」「~だが、そのことは…」という意味を表し、前の文の内容に対するコメントや結果、理由などを付け加えます。必ず前にカンマ(,)が置かれます。
【形】
[前の文や節の内容], which + 動詞 …
【例文】
- He said he couldn’t come, which was disappointing. (彼は来られないと言ったが、そのことは残念だった。)
- which の先行詞: He said he couldn’t come という前の文(節)の内容全体。
- 「彼が来られないと言ったこと」が disappointing だった、という意味。
- She passed the exam with a perfect score, which surprised everyone. (彼女は満点で試験に合格したが、そのことは皆を驚かせた。)
- which の先行詞: She passed the exam with a perfect score という前の文の内容全体。
- It rained all day yesterday, which meant we couldn’t go hiking. (昨日は一日中雨だったが、そのことは私たちがハイキングに行けないことを意味した。)
- which の先行詞: It rained all day yesterday という前の文の内容全体。
- He tried to explain the situation, which I found difficult to understand. (彼は状況を説明しようとしたが、そのことは私には理解するのが難しいとわかった。)
- which の先行詞: He tried to explain the situation という前の文の内容全体。which は found の目的語。
この「前の文全体を受ける which」は、文と文をスムーズにつなぎ、話し手の意見や感情、結果などを付け加えるのに非常に便利な表現です。長文読解でもよく登場しますし、英作文で使えると表現力がアップしますよ。
この用法は which だけの特別な使い方で、who や that が前の文全体を受けることはありません。
注意点:非制限用法では関係代名詞の省略はできない!
関係代名詞の基本のところで、「目的格の関係代名詞は省略できる」というルールを学びましたね。(例: The book (which/that) I read was interesting.)
しかし、非制限用法では、関係代名詞が主格であっても目的格であっても、省略することはできません! 必ず who, whom, whose, which のいずれかを明示する必要があります。
【間違いの例】
- × This is Mr. Smith, I met yesterday.
- 〇 This is Mr. Smith, whom I met yesterday.
- × He gave me this watch, was a present from his father.
- 〇 He gave me this watch, which was a present from his father.
非制限用法は、カンマで区切って補足情報を加えるという性質上、関係代名詞を省略してしまうと文のつながりが分かりにくくなるため、省略は認められていないんですね。これも重要なルールなので覚えておきましょう。
非制限用法って、that が使えなかったり、省略できなかったり、制限用法と違うルールが多いんですね!
その通りなんです!非制限用法は「補足説明」という特別な役割を持っているので、制限用法とは異なるルールがいくつか適用されます。特に「that 不可」「省略不可」の2点は、非制限用法をマスターする上で絶対に押さえておきたいポイントですね。

that が使えないのは絶対覚えます!which が前の文を受けるっていうのも便利そうだけど、難しそう…。省略できないっていうのも注意ですね!
まとめ:関係代名詞の非制限用法を使いこなそう!
今回は、関係代名詞の中でも少し応用的な「非制限用法」について、その基本的な考え方から、制限用法との違い、具体的な使い方、注意点まで詳しく見てきました。最後に、今回の重要ポイントをまとめて、知識を確実にしましょう!
- 非制限用法とは:
- 関係代名詞の前にカンマ(,)を置き、先行詞について補足的な説明を加える用法。
- 先行詞はすでに特定されていることが多い。
- 「ところで~」「そしてその人/物は~」のような接続詞的なニュアンスを持つ。
- 制限用法との違い:
- 制限用法(カンマなし): 先行詞を限定・特定する。「~する(ような)…」。ないと困る情報。
- 非制限用法(カンマあり): 先行詞に補足説明を加える。「…、ところで~」。なくても文意は通じる追加情報。
- カンマの有無で文全体の意味が変わることがある。
- 使い方と使う関係代名詞:
- 先行詞が人 → who (主格), whose (所有格), whom (目的格 ※whoも可)
- 先行詞が物・動物 → which (主格/目的格), whose (所有格)
- 最重要ルール:
- 非制限用法では “that” は絶対に使えない!
- 非制限用法では関係代名詞の省略はできない!
- which の特別用法: 前の文(節)全体の内容を先行詞として受けることができる。(「そしてそのことは~」)
- 使われる場面: 主に書き言葉やフォーマルな場面で、より正確な情報や補足説明を加えたい時に使われる。
関係代名詞の非制限用法は、制限用法との違いや “that” が使えないルールなど、少し注意が必要な点もありますが、使いこなせるようになると、英語の読解力が深まり、より洗練された文章を書けるようになります。
特に、カンマ(,)が持つ「区切り」と「補足」のニュアンスを感じ取れるようになると、英文を読むスピードや理解度が格段に向上するはずです。まずは、カンマ付きの関係代名詞が出てきたら、「これは補足説明だな」「that は使えないんだったな」と意識することから始めてみてください。たくさんの例文に触れる中で、自然と使いこなせるようになりますよ!

非制限用法、スッキリ理解できました!カンマの意味と、that が使えないルール、しっかり覚えました!これからは読解で出てきても大丈夫そうです!
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