LikeとAs、似ているけど違う!比較表現の達人になろう

コラム

「彼はライオンのように戦った」「先生として、あなたにアドバイスします」「私が言ったようにやってください」。日本語では同じように使える「~のように」や「~として」という言葉。でも、これを英語にしようとした瞬間、「あれ? “Like” と “As”、どっちを使えばいいんだっけ…」とフリーズしてしまった経験はありませんか?この二つの単語は、どちらも「比較」や「類似」を表す時に使われるので、混乱してしまうのも無理はありません。

特に、”like” だけで何となく乗り切ってきたけど、”as” が出てくると急に自信がなくなる…という方は多いのではないでしょうか。この記事では、そんな多くの英語学習者さんが永遠のテーマとして抱える “Like” と “As” の違いを、それぞれの単語が持つ「文法的な役割」という根本的な部分から、どこよりも丁寧に、そして分かりやすく解き明かしていきます。この記事を読み終える頃には、もうあなたは迷いません。ネイティブスピーカーのような自然な感覚で、二つの「~のように」を使いこなせるようになっているはずです!

「~のように」、Likeだけじゃないの?

「とりあえず “like” を使っておけば通じるでしょ?」そう思っている方もいるかもしれません。確かに、日常会話では “like” は万能選手のように使われることがあります。しかし、”as” にしか出せないニュアンスがあり、フォーマルな場面やライティングでは、この二つの使い分けがあなたの英語力の評価を大きく左右します。本当の違いを知ることは、あなたの英語を「伝わる」レベルから「正確で美しい」レベルへと引き上げるための、とても大切な一歩なんです。


Likeの正体は「~みたいな」と結びつける前置詞

まずは、私たちに一番馴染みのある “Like” から見ていきましょう。”Like” は「好き」という意味の動詞として有名ですが、比較で使うときの “Like” のお仕事は、ズバリ「前置詞」です。「ぜ、前置詞…?」とアレルギー反応が出そうになった方、大丈夫ですよ!難しく考える必要はありません。

前置詞というのは、”in” (~の中に) や “on” (~の上に) と同じ仲間で、必ず後ろに名詞(または名詞の役割をする言葉のカタマリ)を従える、というルールがあります。そして、前置詞 “Like” のコアイメージは、「~のようだ」「~に似ている」「~みたいな」という、直感的で、ちょっとカジュアルな「たとえ」です。AとBは全く違うものだけど、どこか似ているよね、という感覚を表します。

Likeの基本ルール:
Like (前置詞) + 名詞 (または代名詞、動名詞など)

比喩・たとえ話で使うLike

“Like” の最も得意な分野は、比喩、つまり「たとえ話」です。「まるで~のようだ」と、二つの異なるものを結びつけて、イメージを豊かに表現します。

  • He fought like a lion.
    彼はライオンのように戦った。(※彼は本当にライオンなのではなく、戦い方がライオンに似ていた、ということ)
  • She sings like an angel.
    彼女は天使のように歌う。
  • This coffee tastes like water.
    このコーヒー、水みたいな味がする。(美味しくない、というニュアンス)
  • Stop acting like a child!
    子供みたいに振る舞うのはやめなさい!

これらの例文では、”like” の後ろには “a lion”, “an angel”, “water”, “a child” という名詞が来ていますよね。そして、主語の人物や物が、その名詞「みたいな」状態であることを示しています。

口語で便利なLikeのフレーズ

日常会話では、”Like” を使った便利なフレーズがたくさんあります。これらを覚えておくと、会話がとてもスムーズになりますよ。

  • look like 〜 : 〜のように見える、〜に似ている
    You look like your mother. (あなた、お母さんに似ていますね。)
  • feel like 〜 : 〜のような気分だ
    I feel like a fool. (自分が馬鹿みたいに感じるよ。)
  • feel like 〜ing : 〜したい気分だ
    I feel like going for a walk. (散歩に行きたい気分だ。)
  • such as A, B, and C / like A, B, and C : 例えばAやBやCなど
    I like fruits, like apples and oranges. (私はリンゴやオレンジのような果物が好きです。)

「Like I said… (私が言ったように…)」という表現を聞いたことはありませんか?実はこれ、厳密な文法ルールでは “Like” の後ろに「主語+動詞」の文が来ているので間違いとされ、フォーマルな場では “As I said…” を使うのが正しいとされています。しかし、口語では非常によく使われる表現なので、間違いだと決めつけず「カジュアルな言い方なんだな」と理解しておくと良いでしょう。

Likeのまとめ
品詞: 前置詞
コアイメージ: ~みたいな、~に似ている(比喩)
お仕事: 後ろに名詞を置いて、何かと「似ている」ことを示す!


Asは役割や様子を「イコール」で結ぶ接続詞・前置詞

さて、いよいよ “As” の登場です。”As” は “Like” よりも少し複雑で、いろいろな顔を持っています。しかし、そのコアイメージさえ掴んでしまえば、もう怖くありません。”As” のコアイメージは、「イコール(=)の関係」です。「A as B」は「A=B」という、役割や様子、資格が「同じ」であることを示します。

そして、”As” は “Like” と違って、「接続詞」「前置詞」の両方のお仕事ができる、マルチな才能の持ち主なんです。この二つの顔をしっかり区別することが、使い分けマスターへの鍵となります。

接続詞としてのAs (As + 文)

まず、”As” の最も重要で頻繁に使われる顔が「接続詞」です。接続詞というのは、文と文、あるいは語句と文を繋ぐ「接着剤」のような役割をします。接続詞の “as” の後ろには、必ず「主語 + 動詞」を備えた文が続きます。これが、前置詞 “like” との決定的な違いです。

As (接続詞) の基本ルール:
As + 主語(S) + 動詞(V)

意味はいくつかありますが、代表的なのは「~のように、~のとおりに」です。

  • Please do as I say, not as I do.
    私がやるとおりではなく、言うとおりにしてください。(有名なことわざですね)
  • As you know, the deadline is tomorrow.
    ご存知のように、締め切りは明日です。
  • Leave everything as it is.
    すべてをありのままの状態にしておきなさい。

これらの文では、”as” の後ろに “I say”, “you know”, “it is” といった「主語+動詞」の形が来ているのがわかりますね。”Like” ではこの使い方はできません(口語の例外を除く)。

接続詞の “as” には、他にも「~のとき (when)」「~なので (because)」「~につれて (while)」といった意味もあります。文脈によって意味が変わる多才な単語ですが、今回は比較の「~のように」に焦点を当てていきましょう。

前置詞としてのAs (As + 名詞)

次に、”As” のもう一つの顔、「前置詞」です。こちらも “Like” と同じように、後ろには名詞が来ます。「え、じゃあ “Like + 名詞” と何が違うの?」と思いますよね。ここに、二つの単語の最も重要で本質的な違いが隠されています。

前置詞 “As” の意味は、「~として(の資格・役割・機能で)」です。これは比喩(~みたいな)ではなく、実際にその役割や資格を持っていることを示します。

  • I work as a teacher.
    私は教師として働いています。(※実際に教師という職業である)
  • He used his bag as a pillow.
    彼はカバンを枕として使った。(※その時、カバンは枕の役割を果たした)
  • She joined the team as a consultant.
    彼女はコンサルタントとしてそのチームに加わった。

ここで、”like a teacher” と “as a teacher” の違いを考えてみましょう。

  • He speaks like a teacher. → 彼は(本当は教師ではないかもしれないが)話し方が先生みたいだ。
  • He speaks as a teacher. → 彼は先生という立場・資格で話している。

ニュアンスが全く違いますよね!“Like” は「~みたいな(比喩)」、”As” は「~として(役割)」。この違いを理解することが、使い分けのゴールです。

Asのまとめ
品詞: 接続詞 と 前置詞
コアイメージ: イコール(=)の関係
接続詞のAs: 後ろに文(S+V)を従え、「~のとおりに」
前置詞のAs: 後ろに名詞を従え、「~として(の役割・資格で)」


LikeとAs、使い分けを完璧にする最終ドリル

さあ、”Like” と “As”、それぞれの正体と役割が見えてきたところで、いよいよ最終ステージです。ここまでの知識をフル活用して、あなたの理解度を試してみましょう。これを乗り越えれば、あなたはもう「比較表現の達人」です!

クイズで最終チェック!LikeかAs、どっちが入る?

これから提示する英文のカッコに、”like” と “as” のどちらが入るか、理由も考えながら答えてみてください。

第1問
My brother is nothing ( ) me. He is very outgoing.

正解は… “like” です!
「私に似ていない」という、私(me=名詞)との比較・類似性を表しているので、前置詞の “like” が正解です。「兄は私とは全然似ていない。とても社交的なんだ」という意味になります。

第2問
He works ( ) a tour guide in Kyoto.

正解は… “as” です!
「京都でツアーガイドとして働いている」という、彼の「職業・役割」を示していますよね。なので、前置詞の “as” が正解です。彼がツアーガイド「みたいな」人、なのではなく、実際にツアーガイドなんです。

第3問
When in Rome, do ( ) the Romans do.

正解は… “as” です!
カッコの後ろに “the Romans do” (ローマ人たちがする) という「主語+動詞」の文が来ています。文を従えられるのは接続詞なので、”as” が正解です。これは「郷に入っては郷に従え」という有名なことわざですね。

第4問
She treats me ( ) her own daughter.

正解は… “like” です!
「彼女は私のことを、まるで自分の娘のように扱ってくれる」という意味です。私は本当に彼女の娘ではないので、これは比喩(~みたいな)ですよね。したがって、前置詞の “like” が正解です。もしここで “as her own daughter” と言うと、法的に養子にした娘として扱っている、という事実に基づいたニュアンスになります。

まとめ

ここまで本当にお疲れ様でした!”Like” と “As” という、英語学習者を長く悩ませる二つの単語の核心に迫ってきましたが、いかがでしたか?

最後に、この二つの単語を使い分けるための思考プロセスを、シンプルな表にまとめておきましょう。迷った時は、この表を思い出してください。

思考ステップ 判断 使う単語
Step 1: 後ろに来るのは? 「主語+動詞」のである As (接続詞)
名詞である Step 2へ進む
Step 2: 意味合いは? 「~みたいな」 (比喩・たとえ) Like (前置詞)
「~として」 (役割・資格・機能) As (前置詞)

この2ステップで考えれば、ほとんどの場面で正しい単語を選ぶことができます。

英語の学習は、単に単語の意味を覚えるだけでなく、その単語が持つ「役割(品詞)」や「心のニュアンス」を理解することで、一気に深みと面白さを増します。”Like” と “As” は、その最たる例と言えるでしょう。

今日学んだことを、ぜひ明日からの英会話や英作文で意識して使ってみてください。最初は少し考え込んでしまうかもしれませんが、繰り返すうちに、ネイティブのような自然な感覚が必ず身についてきます。応援しています!

AYUMI

大学卒業後、専門商社入社。海外製品を担当し、主に海外ベンダーとの英語での折衝・交渉を経験。その後、外資系不動産企業へ転職し、海外取引先との英語でのやり取り、契約交渉などに従事。家族は両親と姉。趣味は映画鑑賞、スポーツ観戦、その他。

AYUMIをフォローする
コラム