英語の副詞って、似たようなものが多くて混乱しちゃいますよね。中でも、多くの学習者さんが「どっちを使えばいいの?」と悩むのが、「especially」と「specially」ではないでしょうか。どちらも日本語にすると「特に」と訳せることがあるので、感覚で使ってしまっている方も多いかもしれません。
でも実は、この2つの単語、ネイティブスピーカーは明確に使い分けているんです。スペルもそっくりで、一見すると些細な違いに思えるかもしれませんが、強調したいポイントやニュアンスが全く違うんですよね。この違いをマスターすれば、あなたの表現力は格段にアップし、より「伝わる」英語を話せるようになりますよ。この記事では、もう二度と迷わないように、2つの単語のコアイメージから具体的な使い方まで、徹底的に解説していきます!
「特に」はどっち?スペルも意味もそっくりな罠
さて、突然ですがクイズです。次の2つの文、どちらも「私はあなたのためにこのセーターを編んだ」という気持ちを「特に」という言葉で強調したいのですが、より自然なのはどちらでしょうか?
- I knitted this sweater especially for you.
- I knitted this sweater specially for you.
正解は…実はこの場合、どちらも間違いではありません。でも、込められたニュアンスが少し違うんです。「え、どっちも使えるの?」と余計に混乱してしまったかもしれませんね。大丈夫です、ご安心ください。この微妙なニュアンスの違いこそが、今回のテーマの面白くて重要なポイントなんです。ここから、それぞれの単語が持つ本来の役割を解き明かし、スッキリ解決していきましょう!
多くの選択肢の中から「とりわけ」と抜き出す「Especially」
まずは 「especially」 から見ていきましょう。この単語を理解するカギは、「比較」のニュアンスにあります。
Especiallyのコアイメージは「比較の中のNo.1」
「especially」 は、たくさんの選択肢やグループの中から、一つをピックアップして「他と比べて、これはとりわけ…だ」と強調するときに使う単語です。
イメージとしては、たくさんの候補が並んでいる中で、一つだけにスポットライトを当てて「これ!これが特別なんだ!」と指し示している感じです。
「especially」 = 数ある同類の中から、際立っているものを「特に」「とりわけ」と抜き出す。
例えば、「果物は全般的に好きだけど、その中でも特にバナナが好き」とか、「今日の寒さはいつもと比べて特に厳しい」といった文脈で大活躍します。常に、頭の中に他の何かとの比較があるのがポイントです。
Especiallyの具体的な使い方と例文
「especially」 は、文の中の様々な要素を修飾することができます。基本的な使い方を見ていきましょう。
使い方1: 名詞を強調する
「, especially + 名詞」 の形で、直前の内容について「その中でも特に~」と具体例を挙げるときによく使われます。
I love Japanese food, especially sushi and ramen.
(私は日本食が大好きです。特に寿司とラーメンが。)
→ 「日本食」という大きなグループの中から、「寿司とラーメン」をピックアップして強調していますね。
Many people came to the party, especially her close friends.
(たくさんの人がパーティーに来ましたが、特に彼女の親しい友人たちが来てくれました。)
→ 「たくさんの人」という集団の中から、「親しい友人たち」を抜き出してハイライトしています。
He is interested in history, especially the history of ancient Rome.
(彼は歴史に興味があり、とりわけ古代ローマ史に関心があります。)
→ 「歴史」全般の中から、「古代ローマ史」を特に、と限定しています。
使い方2: 形容詞や副詞を強調する
「especially + 形容詞/副詞」 の形で、その度合いが「とりわけ」「際立って」高いことを示します。
It’s especially cold this morning.
(今朝は特に寒いですね。)
→ いつもと比べて、あるいは他の日と比べて、「特に」寒い、というニュアンスです。
The instructions were especially difficult to understand.
(その説明書は、とりわけ理解するのが難しかった。)
→ 他の部分と比べて、あるいは一般的な説明書と比べて、「際立って」難解だったことを示しています。
I want to visit a place where the stars look especially beautiful.
(星が特に美しく見える場所を訪れたいです。)
→ ただ美しいだけでなく、「とりわけ」美しい場所、という特別な場所を求めている感じが伝わります。
使い方3: 前置詞句や節を強調する
「especially + 前置詞句/when節/if節など」 の形で、特定の状況を強調します。
I enjoy walking, especially in the early morning.
(私は散歩を楽しみますが、特に早朝の散歩が好きです。)
→ 散歩する時間帯の中でも、「早朝」という状況を特別視しています。
You have to be careful, especially when you drive at night.
(注意しなければなりませんよ、特に夜に運転するときは。)
→ 運転する様々な状況の中から、「夜間」という危険性が増す状況をピックアップして注意を促しています。
注意! 「Especially, I like cats.」 のように、文頭にいきなり 「Especially,」 と置く使い方は、文法的に間違いではありませんが、少し不自然に聞こえることがあります。「I like animals, especially cats.」 のように、比較対象となる大きなグループを先に述べてから使うのが一般的で、より自然な英語になります。
「特別な目的のために」を意味する「Specially」
では、もう一方の 「specially」 はどうでしょうか。こちらは 「especially」 とは全く違う角度から「特別」を表現する単語です。
Speciallyのコアイメージは「特定の目的」
「specially」 は、単語の中に 「special (特別な)」 が入っていることからも分かるように、「ある特定の目的のために」「わざわざ」何かをすることを表します。
「especially」 が「他と比べて」という横の比較だったのに対し、「specially」 は「この目的のためだけに!」という、一つの目的に向かう強い意志や意図を表現します。
「specially」 = 特定の人・モノ・目的のために、「特別に」「わざわざ」何かをする。
例えば、「あなたの誕生日のためだけに、特別にケーキを焼いた」とか、「この機械は、極寒の地で使うために特別に設計された」といった文脈で使われます。ここには「他と比べて」というニュアンスはありません。
Speciallyの具体的な使い方と例文
「specially」 は、主に動詞や過去分詞を修飾して、その行為が「特別な目的で」行われたことを示します。
使い方1: 動詞を修飾する
「specially + 動詞」 または 「動詞 + specially」 の形で、その動作の目的を強調します。
This kitchen was specially designed for a professional chef.
(このキッチンはプロのシェフのために特別に設計されました。)
→ 「プロのシェフが使う」という明確な目的のために、設計されたことを示しています。
I came here specially to see you.
(私はあなたに会うためだけに、わざわざここへ来ました。)
→ 「あなたに会う」という目的のためだけに来た、という強い意図が感じられますね。「他の用事のついでに」ではない、というニュアンスです。
She is taking a course specially to improve her public speaking skills.
(彼女はプレゼン能力を向上させるという特別な目的で、講座を受けています。)
→ 「プレゼン能力の向上」というピンポイントの目的を達成するために、その講座を選んで受けているわけです。
使い方2: 過去分詞を修飾して形容詞的に使う
「specially + 過去分詞」 の形で、後ろの名詞を修飾します。これは非常によく使われる形です。
We use specially trained dogs to find missing people.
(私たちは行方不明者を探すために、特別に訓練された犬を使います。)
→ 「行方不明者を探す」という目的のために、「特別な訓練」を受けた犬、という意味です。
He received a specially made award for his long service.
(彼は長年の功労を称えられ、特注の賞を受け取りました。)
→ 彼のためだけに「特別に作られた」賞、というニュアンスです。
This is a specially formulated shampoo for damaged hair.
(これは、傷んだ髪のために特別に調合されたシャンプーです。)
→ 「傷んだ髪」という特定の悩みに応える目的で、作られたことを強調しています。
ここで冒頭のクイズに戻りましょう。
1. I knitted this sweater especially for you.
2. I knitted this sweater specially for you.
両者のニュアンスの違いが、もうお分かりですね?
1の especially は、「(他の誰でもなく)特にあなたのために」という、人物を強調するニュアンスが強くなります。たくさんの人の中から「あなた」をピックアップしている感じです。
2の specially は、「(あなたのために編む、という)特別な目的をもって」という、行為の目的を強調するニュアンスになります。「あなたのために」という目的を込めて、わざわざ編んだんですよ、という気持ちが伝わります。
どちらも可能ですが、「わざわざ感」を伝えたいなら specially の方がより的確だと言えるでしょう。
実は、現代の英語、特にアメリカ英語の口語では、「specially」 が使われるべき場面でも 「especially」 が使われることが増えています。そのため、「I made this especially for you.」 も全く問題なく通じます。ただし、「especially」 が 「specially」 の代わりに使えることはあっても、その逆、つまり「I like fruits, specially bananas.」 のように 「especially」 の代わりに 「specially」 を使うことはできない、と覚えておくのが安全です。
まとめ:Especially vs. Specially 最終チェック!
さあ、長旅お疲れ様でした!「especially」 と 「specially」 の違い、しっかり地図が描けたでしょうか。最後に、もう迷わないための最終チェックリストで、知識を定着させましょう!
Especially | Specially | |
---|---|---|
コアイメージ | 比較の中のNo.1 「他と比べて、とりわけ」 | 特定の目的 「~のために、わざわざ」 |
キーワード | 比較、抜き出す、際立つ | 目的、意図、特注 |
相性が良い品詞 | 名詞、形容詞、副詞、前置詞句 | 動詞、過去分詞 |
例文 | I like sports, especially soccer. (スポーツが好きです、特にサッカーが。) | This suit was specially made for me. (このスーツは私のために特別に作られました。) |
この2つの単語で迷ったら、自分にこう問いかけてみてください。
- 今言いたいのは、たくさんの選択肢の中から「これが一番!」と比べているだろうか? → YESなら especially
- 今言いたいのは、「この目的のためだけに!」とわざわざ何かをしたことを伝えたいだろうか? → YESなら specially
この思考プロセスを使えば、ほとんどの場面で正しく使い分けることができます。
似ているようで、実は全く違う役割を持つ 「especially」 と 「specially」。この違いが分かると、英語の繊細なニュアンスをより深く理解でき、自分の気持ちをより正確に表現できるようになります。今日学んだことを、ぜひ明日からの英会話や英作文で意識して使ってみてくださいね。小さな違いの積み重ねが、あなたの英語を大きく成長させてくれますよ!