「AはBよりも背が高い」「この映画はあの映画よりも面白い」みたいに、二つのものを比べて「どちらがより~か」を表現するのって、日常会話でも文章でもすごくよく使いますよね。英語でこれを表現するのが、おなじみの「比較級」です。”taller” とか “more beautiful” といった形、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。でも、「いつ -er をつけて、いつ more をつけるの?」「than の後はどうなるの?」「比較級を使ったもっと複雑な表現は?」なんて、いざ自分で使おうとすると、意外と迷ってしまうポイントが多いのも事実。英語学習を始めたばかりの方や、中学生、高校生、そして大学受験やTOEICで比較表現の完全制覇を目指す皆さんにとって、この比較級の使い方は、英語の表現力を大きく左右する重要なテーマです。
「比較級って、なんだかルールが多くて覚えられない…」「原級と最上級との違いがごっちゃになる!」そんな悩みや不安を抱えている方もいるかもしれませんね。でも大丈夫!この記事では、そんな皆さんのために、比較級の基本的な考え方から、作り方のルール、使い方、そして覚えておくと便利な重要表現や間違いやすいポイントまで、具体的な例文をたっぷり使いながら、一つひとつ丁寧に解説していきます。この記事を読み終わる頃には、きっと比較級のモヤモヤがスッキリ晴れ、自信を持って「より~だ」という比較を英語で表現できるようになっているはずですよ!

比較級って、-er と more があってややこしいけど、これでスッキリわかるかな?
比較級の基本 – 「より~だ」を表す -er / more のルール
まずは、比較級とは何なのか、そしてどうやって形容詞や副詞を比較級の形に変えるのか、その基本的なルールから見ていきましょう。「-er」をつけるのか、「more」を前につけるのか、ここが最初の関門ですね。
比較級とは? – 二つのものを比べて「程度の差」を表す形
比較級(ひかくきゅう、Comparative degree)とは、二つの人や物事、状況などを比べて、一方がある性質や状態、様態において、もう一方よりも「より~である」「もっと~だ」と、程度の差があることを表すための形容詞や副詞の形のことです。
原級が「同じくらい」を表したのに対し、比較級は「差があること」に焦点を当てます。そして、通常、比較の対象を導くために接続詞の than (~よりも) が一緒に使われます。
例:
- Tom is taller than John. (トムはジョンよりも背が高い。)
→ トムの身長 > ジョンの身長
- This book is more interesting than that one. (この本はあの本よりも面白い。)
このように、比較級を使うことで、二つのものの間に明確な優劣や差異を示すことができるのです。
比較級の作り方 – “-er” をつける場合と “more” を使う場合
形容詞や副詞を比較級の形にするとき、主に二つの作り方があります。
- 語尾に “-er” をつける (短い単語の場合)
- 単語の前に “more” を置く (長い単語の場合)
どちらを使うかは、その単語の音節の数(発音するときの音の区切り)や語尾の形によって、おおよそのルールがあります。一つひとつ見ていきましょう。
1. 短い単語 (1音節語、一部の2音節語) は語尾に “-er” をつける
原則として1音節の形容詞・副詞と、一部の2音節の形容詞・副詞は、語尾に “-er” をつけて比較級を作ります。
-er をつける際のスペル変化のルール:
そのまま -er をつけるもの:
- tall (高い) → taller
- small (小さい) → smaller
- long (長い) → longer
- fast (速い/速く) → faster
- high (高い/高く) → higher
- old (古い、年取った) → older
- young (若い) → younger
- kind (親切な) → kinder
語尾が -e で終わるものは -r だけをつける:
- large (大きい) → larger
- nice (素敵な) → nicer
- wise (賢い) → wiser
- late (遅い/遅く) → later
語尾が「短母音字 + 子音字」で終わるものは、最後の子音字を重ねて -er をつける:
- big (大きい) → bigger
- hot (暑い、熱い) → hotter
- sad (悲しい) → sadder
- thin (薄い、痩せた) → thinner
- wet (濡れた) → wetter
「短母音字」とは、発音するときに短く「ア・イ・ウ・エ・オ」と読む母音のことです。例えば、big の i は短い「イ」の音ですね。
語尾が「子音字 + y」で終わるものは、y を i に変えて -er をつける:
- easy (簡単な) → easier
- happy (幸せな) → happier
- busy (忙しい) → busier
- early (早い/早く) → earlier
- heavy (重い) → heavier
※ 語尾が「母音字 + y」の場合は、そのまま -er をつけます。(例: grey → greyer)
一部の2音節語で -er をつけるもの (語尾が -y, -er, -le, -ow, -some など):
- pretty (きれいな) → prettier
- clever (賢い) → cleverer (more clever も可)
- simple (簡単な) → simpler (more simple も可)
- narrow (狭い) → narrower (more narrow も可)
- handsome (ハンサムな) → handsomer (more handsome がより一般的)
2音節の単語で -er をつけるか more をつけるかは、少し紛らわしいところがありますね。迷ったら辞書で確認するのが一番確実です。一般的に、-y で終わるものは -ier になりやすいですが、それ以外は more を使う方が無難な場合も多いです。
2. 長い単語 (主に2音節語の一部と3音節以上の語) は前に “more” を置く
原則として3音節以上の形容詞・副詞と、2音節の形容詞・副詞の多くは、単語の形は変えずに、その前に more を置いて比較級を作ります。
- beautiful (美しい) → more beautiful
- interesting (面白い) → more interesting
- difficult (難しい) → more difficult
- important (重要な) → more important
- expensive (高価な) → more expensive
- famous (有名な) → more famous (2音節だが more を使う)
- careful (注意深い) → more careful (2音節だが more を使う)
- slowly (ゆっくりと) → more slowly (副詞で -ly で終わるものは通常 more)
- quickly (速く) → more quickly (副詞で -ly で終わるもの)
- easily (簡単に) → more easily (副詞で -ly で終わるもの)
特に、-ful, -ing, -ous, -ive, -able, -ible, -less, -ish, -ic, -al, -ent, -ant などの接尾辞がつく形容詞や、-ly で終わる副詞は、音節の数に関わらず more を使うことが多いと覚えておくと良いでしょう。
3. 不規則に変化するもの (good/well, bad/ill, many/much, little, farなど)
残念ながら、全ての形容詞・副詞が上記のルール通りに変化するわけではありません。不規則な変化をする比較級もいくつかあり、これらは丸ごと覚えてしまう必要があります。 代表的なものをしっかり押さえておきましょう。
原級 | 比較級 | 最上級 | 意味 |
---|---|---|---|
good (良い) [形] | better | best | より良い |
well (上手に、健康で) [副/形] | better | best | より上手に、より健康で |
bad (悪い) [形] | worse | worst | より悪い |
ill (病気の、悪い) [形/副] | worse | worst | より病気の、より悪い |
many (多くの) [形/代] (可算名詞) | more | most | より多くの |
much (多くの) [形/代/副] (不可算名詞) | more | most | より多くの、より多く |
little (少量の、小さい) [形/代/副] (不可算名詞) | less | least | より少量の、より小さい |
little (小さい) [形] (大きさ) | smaller / less | smallest / least | より小さい |
far (遠い/遠く) [形/副] (距離・程度) | farther / further | farthest / furthest | より遠い/遠く、さらに進んだ |
old (古い、年取った) [形] | older / elder | oldest / eldest | より古い、より年上の (elder/eldestは家族関係で) |
late (遅い/遅く) [形/副] | later / latter | latest / last | より遅い/後者の/最新の/最後の |
この不規則変化は、英語学習の初期でつまずきやすいポイントですが、非常によく使う単語ばかりなので、頑張って覚えましょう!特に good-better-best, bad-worse-worst は必須です。far の farther (距離) と further (程度・さらに) の使い分けや、old の older (一般) と elder (家族の年長者) の違いも注意が必要ですね。
形容詞と副詞で同じ形の比較級になるものもあるんですね?
はい、その通りです。例えば、fast (速い/速く), hard (熱心な/熱心に), early (早い/早く), late (遅い/遅く), high (高い/高く), low (低い/低く) などは、形容詞としても副詞としても使われ、比較級の形も同じ (-er をつける) ものが多いです。ただし、slowly (副詞) → more slowly のように、-ly で終わる副詞は通常 more を使いますね。

-er と more の使い分け、だいたいわかった!でも、不規則変化は覚えるのが大変そう…。頑張らなきゃ!
比較級を使った文の作り方と使い方 – “A is -er/more … than B”
比較級の形が作れるようになったら、次はそれを使って実際に文を作る練習です。「AはBよりも~だ」という比較の文は、特定の構造を持っています。
比較級 + than B – 「Bよりも~だ」の基本構造
二つのもの (AとB) を比べて、「AはBよりも~だ」と表現する場合の基本的な文の形は以下の通りです。
A + (be動詞/一般動詞) + 比較級 (形容詞/副詞) + than + B
この形で、
- 比較級 (形容詞/副詞): 「より~な」「より~に」という、程度の差を表す形。
- than: 接続詞(または前置詞)で、「~よりも」という意味を表し、比較の対象Bを導きます。
形容詞の比較級を使う場合 (Aの状態や性質がBよりも上):
- My bag is heavier than yours. (私のカバンはあなたのよりも重い。)
- This movie is more exciting than the one I saw last week. (この映画は先週私が見たのよりもわくわくする。)
- She became more beautiful than ever. (彼女は以前よりもっと美しくなった。)
副詞の比較級を使う場合 (Aの動作の様態や程度がBよりも上):
- He runs faster than me / I (do). (彼は私よりも速く走る。)
- She can speak English more fluently than her brother. (彼女は兄よりも流暢に英語を話せる。)
- Please drive more slowly than usual. (いつもよりももっとゆっくり運転してください。)
この「比較級 + than B」の形が、比較表現の最も基本的な骨格となります。
比較の対象Bの形 – 何と比べるか?
“than B” の B の部分(比較の対象)には、原級比較の “as B” と同様に、様々な形が来ます。
- 名詞・代名詞:
例: This car is newer than that one. (この車はあれよりも新しい。)
例: My sister is taller than me / I (am). (私の姉は私よりも背が高い。)
※ ここでも、口語では目的格の me が、フォーマルな文や試験では主格の I (am が省略) が好まれます。
- 句:
例: The exam was more difficult than I had expected. (試験は私が予想していたよりも難しかった。)
※ この I had expected は、than に導かれる節と考えることもできます。
- 節 (主語 + 動詞 を含む文):
例: It is colder today than it was yesterday. (今日は昨日よりも寒い。)
例: Learning a new language is more challenging than I thought (it would be). (新しい言語を学ぶことは、私が思っていたよりもやりがいがある(難しい)。)
比較の対象Bが節の場合、共通する部分は省略されることが多いのは原級比較と同じです。
- She has more friends than he (does / has). (彼女は彼よりも友達が多い。)
than の後に続く代名詞の格(主格か目的格か)は、しばしば議論の的になりますね。伝統的な文法では、than は接続詞と見なされ、後ろには節が続く(そして共通部分が省略される)と考えるため、主格 (I, he, she, we, they) が正しいとされてきました。しかし、現代の口語英語では、than を前置詞のように捉え、目的格 (me, him, her, us, them) を使うのが非常に一般的になっています。試験などでは、文脈にもよりますが、主格を選ぶのが安全策と言えるでしょう。
比較級を強調する語句 – much, far, a lot, even, still, by farなど
比較級の意味をさらに強調して、「ずっと~だ」「はるかに~だ」「さらに~だ」と言いたいときには、比較級の前に特定の副詞(強調語句)を置くことができます。
比較級を強調する主な副詞:
- much: (ずっと、はるかに)
例: This car is much more expensive than that one. (この車はあれよりずっと高価だ。)
- far: (ずっと、はるかに)
例: She is far better than me at tennis. (彼女はテニスでは私よりはるかに上手だ。)
- a lot: (ずっと、たくさん) ※口語的
例: I feel a lot better today. (今日は気分がずっと良い。)
- even: (さらに、いっそう) ※すでにある差をさらに広げるニュアンス
例: He is tall, but his brother is even taller. (彼は背が高いが、彼の兄はさらに背が高い。)
- still: (それでもなおいっそう) ※予想に反して、あるいは状況が変わってもなお、というニュアンス
例: It was cold yesterday, but it is still colder today. (昨日は寒かったが、今日はそれでもなおいっそう寒い。)
- by far: (断然、はるかに) ※最上級を強調することが多いが、比較級にも使える。
例: This is by far the better of the two. (こちらが二つのうちで断然良い方だ。)
(通常は This is by far the best. のように最上級で使うことが多い)
- any: (否定文・疑問文で) 少しでも、いくらかでも
例: I can’t walk any faster. (これ以上少しも速く歩けない。)
例: Is she any taller than her sister? (彼女は姉より少しでも背が高いですか?)
- no: (no + 比較級で) 少しも~ない (cf. not any)
例: He is no taller than I am. (彼は私より少しも背が高くない。= 私と同じくらいの背の高さだ。)
※ “He is no taller than I am.” は、「彼は私と同じくらい背が高い(決して私より高くはない)」というニュアンスで、実質的に差がないことを示します。これについては後述の「差がない比較級」で詳しく触れます。
- a little / a bit / slightly: (少し、やや) ※差が小さいことを示す
例: This one is a little more expensive. (こちらが少しだけ高いです。)
very は比較級を直接修飾できません! “very taller” や “very more beautiful” とは言わないので注意しましょう。”very much taller” や “very much more beautiful” のように very much を使うことは可能です。
比較級の強調語句は、会話の表現を豊かにするのに役立ちます。「ただ速い」のではなく「ずっと速い」と言いたいときに、much faster や far faster のように言えると、より気持ちが伝わりますね。very を使わない、という点はしっかり覚えておきましょう!

than の後は代名詞の形が難しいな…。強調の much とか far とか、これも覚えないと!very はダメなんだね!
比較級を使った様々な重要表現と慣用句
比較級は、基本的な「AはBよりも~だ」という形だけでなく、様々な重要表現や慣用句の中でも活用されています。これらをマスターすれば、あなたの英語表現はさらに洗練されたものになるでしょう。
The + 比較級 …, the + 比較級 ~ – 「~すればするほど、ますます…だ」
これは非常に重要で、かつ特徴的な比較級の構文です。「The + 比較級 (+ S + V) …, the + 比較級 (+ S’ + V’) ~」の形で、「(前の節が)~すればするほど、ますます(後の節が)…だ」という意味を表します。 二つの事柄が比例して変化する様子を示すのに使われます。
- The more you study, the more you will learn. (勉強すればするほど、ますます多くのことを学ぶだろう。)
- The harder he worked, the more tired he became. (彼が熱心に働けば働くほど、ますます疲れていった。)
- The sooner, the better. (早ければ早いほど良い。)
→ これは非常に有名な決まり文句ですね。主語と動詞が省略されています。(The sooner it is, the better it will be.)
- The higher we climbed, the colder it became. (高く登れば登るほど、ますます寒くなった。)
- The more I think about it, the less I understand it. (それについて考えれば考えるほど、ますます分からなくなる。)
この構文の “The” は、定冠詞の the とは少し異なり、副詞的な働きをして「その分だけ~」という程度を表していると考えられています。「これだけ~すると、それだけ…になる」という対応関係を示しているんですね。
この構文は、因果関係や比例関係を簡潔に表現できるため、非常に便利で、会話でも文章でもよく使われます。 形が特殊なので、しっかり覚えて使いこなせるようになりましょう。
比較級 and 比較級 – 「ますます~」「だんだん~」
同じ形容詞や副詞の比較級を and で結ぶと、「ますます~」「だんだん~」というように、程度が次第に増していく様子を表します。
- It is getting hotter and hotter. (ますます暑くなってきている。)
- The situation is becoming more and more serious. (状況はますます深刻になってきている。)
- She spoke faster and faster. (彼女はだんだん速く話した。)
- As time went by, he became less and less interested in the project. (時が経つにつれて、彼はそのプロジェクトにますます興味を失っていった。)
※ less and less で「ますます~でなくなる」
この表現は、天候の変化、感情の高まり、状況の悪化や好転など、時間と共に程度が変化していく様子を描写するのに非常に効果的です。
no + 比較級 + than B – 「Bと同様に少しも~ない」(差がないことを強調)
先ほど比較級の強調で少し触れましたが、no + 比較級 + than B という形は、一見すると「Bよりも~ない」という意味に見えますが、実際には「Bと同じくらい~ない」「Bと同様に少しも~ではない」という意味で、AとBの間に実質的な差がないこと、あるいはAがBと同じ程度に低いレベルであることを強調します。この no は、not … any よりも強い否定で、「ゼロの差」を意味します。
これは、有名な「クジラの構文」の基礎となる考え方でもあります。
- He is no taller than I am. (彼は私と同じくらい背が低い[私より少しも背が高くない]。)
(≒ He is as short as I am. / He is not any taller than I am.)
→ 彼が私より背が高いという差はゼロだ、という意味。
- A whale is no more a fish than a horse is. (クジラが魚でないのは、馬が魚でないのと同じだ。 / クジラは馬と同様に少しも魚ではない。)
→ これが「クジラの構文」と呼ばれるものです。「A is no more B than C is D」で、「CがDでないのと同様にAはBでない」という意味になります。AとCが同じくらい「Bではない」ということを言いたいのです。
(この例文では、Dが省略されて fish と同じと解釈されています。)
- I can no more swim than a hammer can. (私は金槌と同様に少しも泳げない。)
(=私は金槌が泳げないのと全く同じように泳げない。)
この “no more … than ~” は、「~と同様に…ではない」と訳すと分かりやすいでしょう。AとBが両方とも否定されるという点がポイントです。
逆に、no less … than B は「Bと同様に~である」「Bに劣らず~だ」という意味で、肯定的な意味合いでAとBが同程度であることを強調します。
- She is no less beautiful than her sister. (彼女は姉に劣らず美しい。)
(= 彼女は姉と同じくらい美しい、そしてその美しさは少しも損なわれていない。)
“no + 比較級 + than” の構文は、意味の取り方が少し難しく、受験英語では頻出の難関ポイントです。「差がゼロ」というイメージと、「than以下の内容と同じように」という視点を持つと、理解しやすくなるかもしれません。
(the) + 比較級 + of the two – 「二つのうちでより~な方」
二つのものを比べて、「その二つのうちで、より~な方」と言いたいときには、the + 比較級 + of the two という形を使います。比較級なのに the がつくのが特徴です。
- This is the larger of the two bags. (これが二つのカバンのうちでより大きい方です。)
- She is the taller of the two sisters. (彼女は姉妹のうちでより背が高い方だ。)
- Which is the more expensive of the two? (二つのうちでより高価なのはどちらですか?)
なぜ比較級なのに the がつくのかというと、「二つのうちでより~な方」というのは、特定の一つに定まるからです。最上級 (the tallest など) が「三つ以上のうちで一番」と特定の一つを指すのと同様に、この表現も「二つの中で特定の一方」を指すため、the が必要になるのです。
“of the two” は省略されることもありますが、文脈から二つのものを比べていることが明らかな場合に限ります。
その他、比較級を用いた慣用表現
比較級を使った便利な慣用表現は他にもたくさんあります。
- more or less: 多かれ少なかれ、だいたい、おおよそ
例: The work is more or less finished. (仕事はだいたい終わった。)
- sooner or later: 遅かれ早かれ、いつかは
例: You will understand it sooner or later. (遅かれ早かれあなたはそれを理解するだろう。)
- know better (than to do): (~するほど)愚かではない、もっと分別がある
例: He knows better than to argue with his boss. (彼は上司と口論するほど愚かではない。)
- prefer A to B / like A better than B: BよりもAを好む
例: I prefer coffee to tea. (私は紅茶よりもコーヒーを好む。)
例: I like coffee better than tea.
- (all) the more so because S+V: SがVなので、なおさらそうだ
例: I like him all the more so because he is honest. (彼が正直なので、なおさら彼が好きだ。)
- none the less for ~ / ~ none the less: ~にもかかわらずやはり、それでもやはり
例: He was very tired, but he kept working none the less. (彼はとても疲れていたが、それでもやはり働き続けた。)
- much [still] less ~: (否定文の後で) まして~ない、なおさら~ない
例: I can’t even read a newspaper in French, much less a novel. (私はフランス語で新聞さえ読めないのに、まして小説など読めるはずがない。)
(let alone ~ も同様の意味で使われます。)
これらの慣用表現は、会話をスムーズにしたり、微妙なニュアンスを伝えたりするのに役立ちます。少しずつ覚えて、使えるようにしていきましょう。
“The 比較級, the 比較級” や “比較級 and 比較級” は、形も意味も特徴的なので、特にしっかりマスターしたいですね! “no more … than” のクジラの構文は、論理的な思考も必要とされるので、じっくり取り組んでみてください。

The more …, the more … って、なんだか魔法の呪文みたい!クジラの構文はやっぱり難しい…。でも、使えるようになったらカッコイイだろうなぁ!
まとめ – 比較級を自由自在に操り、表現の達人へ!
今回は、「AはBよりも~だ」という、二つのものを比べて程度の差を表す「比較級」について、その基本的な作り方から使い方、そして覚えておくと非常に役立つ重要表現や慣用句まで、詳しく見てきました。これで、今まで「-er なのか more なのか…」「than の後はどうするんだっけ…」と悩んでいた比較級が、グッと身近なものになったのではないでしょうか。
最後に、この記事で学んだ比較級の重要なポイントをまとめておきましょう。
- 比較級とは:
- 二つのものを比べて「より~だ」と程度の差を表す形容詞・副詞の形。
- 通常、than B (Bよりも) を伴う。
- 比較級の作り方:
- 短い単語 (1音節語、一部の2音節語): 語尾に -er をつける (例: taller, bigger, happier)。
- 長い単語 (主に3音節以上、多くの2音節語): 前に more を置く (例: more beautiful, more slowly)。
- 不規則変化: good → better, bad → worse, many/much → more, little → less など。
- 比較級の強調:
- 比較級の前に much, far, a lot, even, still などを置いて「ずっと~」「さらに~」と強調できる。
- very は比較級を直接修飾できない!
- 重要な比較級構文:
- The + 比較級 …, the + 比較級 ~: 「~すればするほど、ますます…だ」
- 比較級 and 比較級: 「ますます~」「だんだん~」
- no + 比較級 + than B: 「Bと同様に少しも~ない」(クジラの構文など)
- the + 比較級 + of the two: 「二つのうちでより~な方」
- その他慣用表現:
- more or less, sooner or later, know better, prefer A to B, much less ~ など。
比較級は、私たちの周りの世界をより細やかに、より具体的に描写し、評価するための非常にパワフルな言葉の道具です。これを使いこなせるようになれば、あなたの英語は単に情報を伝えるだけでなく、微妙なニュアンスや感情までも表現できるようになり、コミュニケーションの質が格段に向上するでしょう。
最初は、-er と more の使い分けや、不規則変化、そしてたくさんの構文に圧倒されるかもしれません。でも、基本的なルールを理解し、たくさんの例文に触れ、声に出し、そして何よりも自分自身で比較級を使った文を作ってみることで、必ずその感覚が身についてきます。特に、日常会話で「こっちの方がいいね!」「前よりずっと上手になったね!」のように、比較の表現は頻繁に使われます。積極的に使って、その便利さを実感してみてください。
この記事が、皆さんの英語学習の旅において、比較級という大きな山を乗り越え、より自由で豊かな英語表現の世界へと羽ばたくための一助となれば、これ以上嬉しいことはありません。楽しみながら、比較表現の面白さを探求していってくださいね!

比較級、奥が深かったけど、これでバッチリな気がする!強調とか、The more …, the more … とか、使えるようになりたいな!
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