分詞構文、便利だけどちょっと難しい…って感じること、ありますよね。特に、参考書で「独立分詞構文」なんて言葉が出てくると、「普通の分詞構文と何が違うの?」「主語が残ってる時があるけど、あれは何?」って、さらに頭が「???」ってなっちゃいませんか?せっかく分詞構文の基本が分かってきたのに、この「独立」ってやつが新たな壁になっている方もいるかもしれません。
でも安心してください!この記事では、そんな「独立分詞構文」について、基礎の基礎からじっくりと解き明かしていきます。普通の分詞構文との違いは何か、どうして主語が残るのか、そしてどんな風に作って、どんな意味を表すのか。たくさんの例文を使いながら、一つひとつ丁寧に解説していきますよ。この記事を読み終えれば、「なるほど、独立分詞構文ってそういうことだったのか!」とスッキリ理解できて、英文読解や英作文で自信を持って向き合えるようになるはずです!

独立分詞構文…名前からして難易度高そう…!普通の分詞構文もまだあやふやなのに…。
独立分詞構文って何?普通の分詞構文との違い
まずは、「独立分詞構文」がどんなものなのか、普通の分詞構文とどこが違うのか、基本的なところから確認していきましょう。違いをはっきりさせることが、理解への第一歩ですよ!
まずはおさらい:普通の分詞構文の作り方とルール
独立分詞構文の話に入る前に、普通の分詞構文について簡単におさらいしておきましょう。
普通の分詞構文は、接続詞(When, Because, If, Though など)で始まる副詞節を短く、シンプルにするためのテクニックでしたね。作り方の基本ステップはこうでした。
- 接続詞を削除する。
- 副詞節の主語が主節の主語と同じなら、副詞節の主語を削除する。
- 副詞節の動詞を分詞(能動態なら -ing / 受動態なら 過去分詞)に変える。
例:
- Because she felt sick, she didn’t go to school. (彼女は気分が悪かったので、学校に行かなかった。)
→ Feeling sick, she didn’t go to school. (気分が悪かったので、彼女は学校に行かなかった。)- 接続詞 Because を削除。
- 副詞節の主語 “she” と主節の主語 “she” が同じなので削除。
- 動詞 felt (能動態) を現在分詞 feeling に変える。
- Though he was tired, he continued to work. (彼は疲れていたけれども、働き続けた。)
→ (Being) Tired, he continued to work. (疲れていたけれども、彼は働き続けた。)- 接続詞 Though を削除。
- 副詞節の主語 “he” と主節の主語 “he” が同じなので削除。
- 動詞 was tired (受動態/形容詞) を (Being) tired に変える。(Being は通常省略)
このように、普通の分詞構文では、副詞節と主節の主語が同じであることが大前提でした。これがポイントです!
独立分詞構文の定義:「意味上の主語」が違う!
では、いよいよ本題の独立分詞構文(どくりつぶんしこうぶん、Absolute Participle Construction)です。これはどんなものかというと…
副詞節の主語と、主節の主語が「違う」場合に使う分詞構文のことなんです!
普通の分詞構文は主語が同じだから省略できましたが、主語が違う場合は、省略してしまうと誰(何)がその動作をするのか分からなくなってしまいますよね? だから、独立分詞構文では、分詞の「意味上の主語」(もともと副詞節の主語だったもの)を、分詞の前に省略せずに残しておく、というルールになっているんです。
例を見てみましょう。
- 元の文: As the sun had set, we stopped working. (日が沈んでしまったので、私たちは働くのをやめた。)
- 副詞節の主語は “the sun” (太陽)
- 主節の主語は “we” (私たち)
- 主語が違いますね!
この文を分詞構文にしようとすると…
- 接続詞 As を削除。
- 主語が違うので、副詞節の主語 “The sun” は残します。
- 動詞 had set は能動態で、主節の stopped (過去) よりも前のことなので、完了形の現在分詞 having set にします。
→ 結果: The sun having set, we stopped working. (日が沈んだので、私たちは働くのをやめた。)
このように、分詞 (having set) の前に、その動作主である “The sun” がちゃんと残っていますよね。これが独立分詞構文の基本的な形です。
普通の分詞構文: 主語が同じ → 主語を省略 → 分詞…
独立分詞構文: 主語が違う → 主語を残す → 意味上の主語 + 分詞…
この違いをしっかり頭に入れてくださいね!
なぜ「独立」と呼ばれるの?主語が残る理由
「独立」分詞構文という名前は、この構文が主節の主語から「独立」して、自分自身の主語を持っている、というイメージから来ています。
もし、主語が違うのに普通の分詞構文のように主語を省略してしまうと、おかしな意味になってしまいます。
例えば、さっきの例文 “As the sun had set, we stopped working.” で、もし “the sun” を省略してしまったら…
- Having set, we stopped working. (???)
これだと、分詞 “Having set” の意味上の主語が、主節の主語 “we” であるかのように解釈されてしまい、「私たちが沈んだので、私たちは働くのをやめた」という意味不明な文になってしまいます!
そうならないために、分詞の意味上の主語が主節の主語と違う場合は、必ずその主語を分詞の前に明示する必要がある、というわけなんですね。だから「独立」して主語を持っているんです。

なるほど!主語が違うから省略しないで残す、それが「独立」分詞構文なんですね!普通の分詞構文との違いがはっきりしました!
独立分詞構文の作り方と意味のパターンをマスターしよう
独立分詞構文の正体がわかったところで、次は具体的な作り方と、どんな意味を表すのかを詳しく見ていきましょう。作り方のパターンと意味の捉え方をマスターすれば、もう独立分詞構文は怖くありません!
独立分詞構文の作り方:主語を残して動詞を分詞化
独立分詞構文の作り方は、普通の分詞構文の作り方と途中まで同じですが、ステップ2が異なります。
- 接続詞を削除する。
- 副詞節の主語が主節の主語と違うので、副詞節の主語は削除せずに残す。
- 副詞節の動詞を分詞に変える。
- 元の文が能動態の場合 → 現在分詞 (-ing)
- 元の文が受動態の場合 → (Being) 過去分詞 (-ed/en) (Beingは通常省略)
- 元の文が形容詞/名詞の場合 → (Being) 形容詞/名詞 (Beingは通常省略)
- 主節より前のことを表す場合(完了形) → having + 過去分詞 (能動態) / (Having been) 過去分詞 (受動態) (Having been は省略可)
では、それぞれのパターンを例文で見てみましょう。
1. 能動態の場合 → 意味上の主語 + 現在分詞 (-ing)
- 元の文: Because school was over, the children went home. (学校が終わったので、子供たちは家に帰った。)
→ School being over, the children went home.- 主語: School ≠ the children
- 動詞: was (be動詞) → being
- 元の文: As our teacher advised us, we practiced harder. (先生が私たちに助言したので、私たちはより熱心に練習した。)
→ Our teacher advising us, we practiced harder.- 主語: Our teacher ≠ we
- 動詞: advised (能動態) → advising
2. 受動態の場合 → 意味上の主語 + (Being) 過去分詞 (-ed/en)
- 元の文: As all the tickets were sold out, we couldn’t see the concert. (すべてのチケットが売り切れていたので、私たちはコンサートを見られなかった。)
→ All the tickets (being) sold out, we couldn’t see the concert.- 主語: All the tickets ≠ we
- 動詞: were sold out (受動態) → (Being) sold out
- 元の文: When this work is finished, you can take a break. (この仕事が終わったら、休憩していいですよ。)
→ This work (being) finished, you can take a break.- 主語: This work ≠ you
- 動詞: is finished (受動態) → (Being) finished
受動態の場合、”Being” は省略されることが圧倒的に多いので、形としては「意味上の主語 + 過去分詞」となることがほとんどです。
3. 完了形の場合 → 意味上の主語 + having + 過去分詞 / (Having been) 過去分詞
主節の出来事よりも前のことを表す場合です。
- 元の文: After the storm had passed, we went outside. (嵐が過ぎ去った後、私たちは外に出た。)
→ The storm having passed, we went outside.- 主語: The storm ≠ we
- 動詞: had passed (能動態、主節 went より前) → having passed
- 元の文: Because my wallet had been stolen, I couldn’t pay the bill. (財布が盗まれてしまっていたので、私は支払いができなかった。)
→ My wallet (having been) stolen, I couldn’t pay the bill.- 主語: My wallet ≠ I
- 動詞: had been stolen (受動態、主節 couldn’t pay より前) → (Having been) stolen
完了形の受動態の場合も、”Having been” は省略されることが多く、形としては「意味上の主語 + 過去分詞」となり、②の受動態の場合と同じ形になることがよくあります。時制の違いは文脈で判断します。
独立分詞構文が表す主な意味(時・理由・条件・譲歩・付帯状況)
独立分詞構文も、普通の分詞構文と同じように、文脈によって様々な意味(時、理由、条件、譲歩、付帯状況)を表します。接続詞が省略されているので、どの意味かは文脈から判断する必要があります。
- 時 (when, while, as):
- The ceremony being over, they moved to the reception hall. (式が終わると、彼らは披露宴会場へ移動した。)
- 元の文: When the ceremony was over…
- 理由・原因 (because, as, since):
- It being cold, we decided to stay indoors. (寒かったので、私たちは屋内にいることに決めた。)
- 元の文: Because it was cold…
- 条件 (if):
- Time permitting, I would like to visit the museum. (時間が許せば、博物館を訪れたいのですが。) ※慣用表現に近い
- 元の文: If time permits…
- 譲歩 (though, although):
- Other conditions being equal, this plan seems better. (他の条件が同じだとすれば[同じだとしても]、こちらの計画の方が良さそうだ。) ※慣用表現に近い
- 元の文: Though other conditions are equal…
- 付帯状況 (with のような感覚):
特に、独立分詞構文が付帯状況を表す場合、「~が…している状態で」「~が…された状態で」という意味になり、前置詞 with を使った表現 (with + O + C) と非常に近い働きをします。独立分詞構文は with を使わない、よりフォーマルな言い方と捉えることもできます。
- He stood there, his hands trembling. (彼は両手を震わせながら、そこに立っていた。)
- 意味:「彼が立つ」と「彼の手が震える」が同時に起こっている。
- with を使うと: He stood there, with his hands trembling.
- She was listening to music, her eyes closed. (彼女は目を閉じて、音楽を聴いていた。)
- 意味:「彼女が音楽を聴く」と「彼女の目が閉じられる」状態が同時に存在。
- with を使うと: She was listening to music, with her eyes closed.
- He stood there, his hands trembling. (彼は両手を震わせながら、そこに立っていた。)
普通の分詞構文と同様に、文脈をよく読み、省略された接続詞や意味関係を推測することが大切です。
There is/are構文の独立分詞構文:「There being…」
少し特殊な形として、元の副詞節が “There is…” や “There are…” で始まる文だった場合の独立分詞構文があります。この場合は、意味上の主語として “There” を分詞の前に残します。
- 元の文: As there was no bus, we had to take a taxi. (バスがなかったので、私たちはタクシーに乗らなければならなかった。)
→ There being no bus, we had to take a taxi. - 元の文: Since there were many people waiting, we gave up going inside. (待っている人がたくさんいたので、私たちは中に入るのを諦めた。)
→ There being many people waiting, we gave up going inside. - 元の文: If there is enough time, let’s have another coffee. (もし十分な時間があれば、もう一杯コーヒーを飲みましょう。)
→ There being enough time, let’s have another coffee.
この “There being…” の形は、見慣れないと少し戸惑うかもしれませんが、There is/are構文の分詞構文なんだな、と覚えておきましょう。

作り方のパターンが分かれば、意外といけるかも!付帯状況の with O C と似てるっていうのも分かりやすいです!
独立分詞構文と慣用表現・注意点
独立分詞構文は、少し硬い表現で、書き言葉で使われることが多いですが、その一部は慣用表現として日常的にも使われています。また、使う上で注意すべき点もありますので、最後に確認しておきましょう。
慣用表現の多くは独立分詞構文から来ている?
前回の「分詞の慣用表現」の記事でも触れましたが、”Generally speaking” や “Judging from…” といった慣用表現の多くは、実は独立分詞構文が元になっていると考えられています。
これらの表現では、意味上の主語が「一般の人々 (we, people, you)」や「状況 (it)」などであるために、慣習的に省略されていることが多いんです。
- Generally speaking, … (一般的に言って)
- 元の形?:(If we are) generally speaking… → 主語 we が省略されて慣用化
- Judging from his accent, … (彼の訛りから判断すると)
- 元の形?:(If one is) judging from his accent… → 主語 one (人) が省略されて慣用化
- Weather permitting, … (天気が許せば)
- これは省略されずに主語が残っている独立分詞構文の慣用表現ですね。(If weather permits…)
- All things considered, … (すべてのことを考慮に入れると)
- これも主語が残っている例。(When all things are considered…)
このように、普段何気なく使っている(あるいは目にする)慣用表現も、そのルーツをたどると独立分詞構文に行き着くことがあるんですね。成り立ちを知ると、より深く理解できます。
独立分詞構文を使う上での注意点
独立分詞構文は文法的に正しい表現ですが、使う際にはいくつか注意しておきたい点があります。
- やや硬い表現、書き言葉中心: 独立分詞構文は、一般的な会話で頻繁に使われるというよりは、小説やニュース、論文などの書き言葉や、少しフォーマルなスピーチなどで見かけることが多いです。日常会話では、接続詞を使った方が自然に聞こえる場合が多いでしょう。
- 主語の省略ミスに注意(ぶら下がり分詞構文): 独立分詞構文を使うべき場面(主語が違う場面)で、うっかり意味上の主語を省略してしまうと、「ぶら下がり分詞構文(Dangling participle)」と呼ばれる文法的な誤りになります。
× 誤り: Having set, we stopped working. (私たち自身が沈んだ、という意味に取られかねない)
〇 正: The sun having set, we stopped working.分詞構文を作るときは、必ず分詞の意味上の主語と主節の主語が同じかどうかを確認する習慣をつけましょう。
- 意味の曖昧さ: 普通の分詞構文と同様に、接続詞が省略されるため、文脈によっては意味が曖昧になる可能性もゼロではありません。明確さが重要な場面では、接続詞を使う方が安全な場合もあります。
独立分詞構文は、使いこなせると表現の幅が広がりますが、TPOや明確さを考えて使うことが大切ですね。

ら下がり分詞構文、やっちゃいそうです…!主語の確認、大事ですね!気をつけます!
まとめ:独立分詞構文マスターのポイント
今回は、分詞構文の中でも特に「独立分詞構文」に焦点を当てて、その仕組みから使い方、注意点までを詳しく解説してきました。最後に、独立分詞構文をしっかり理解するためのポイントをまとめておきましょう!
- 独立分詞構文とは: 副詞節の主語と主節の主語が「違う」場合に使う分詞構文のこと。
- 普通の分詞構文との違い: 分詞の意味上の主語を省略せずに、分詞の前に残す点。
- 作り方:
- 接続詞を削除。
- 意味上の主語を残す。
- 動詞を分詞化:能動態→現在分詞(-ing) / 受動態→(Being)過去分詞 / 主節より前→having+過去分詞 or (Having been)+過去分詞
- 意味: 普通の分詞構文と同じく、文脈によって時・理由・条件・譲歩・付帯状況などを表す。
- 付帯状況の用法: 「意味上の主語 + 分詞」が「~が…している/された状態で」という意味を表し、with + O + C の形と似ている。
- There is/are構文: There being… という形になる。
- 慣用表現との関係: 多くの分詞の慣用表現は、独立分詞構文の意味上の主語が省略された形。
- 注意点: やや硬い表現で書き言葉中心。主語の省略ミス(ぶら下がり分詞構文)に注意。
独立分詞構文は、一見すると複雑に見えるかもしれませんが、「主語が違うから残す」というシンプルな原則に基づいています。この原則を理解すれば、あとは分詞の形(現在分詞か過去分詞か、完了形か)を正しく選ぶだけです。
英文を読むときに「あ、これ主語が違うから残ってるんだな」と気づけるようになると、読解のスピードと正確さがぐんと上がります。最初は少し戸惑うかもしれませんが、焦らず、例文にたくさん触れながら慣れていってくださいね。独立分詞構文をマスターして、分詞構文全体の理解をさらに深めましょう!

独立分詞構文、しっかり理解できました!これで長文読解も怖くないかも!練習してみます!
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