英語の冠詞 a/an や the って、名詞の前につくのはわかるけど、「形容詞とか副詞とか、他の言葉と一緒に出てきたとき、いったいどこに入れればいいの?」って迷うこと、ありませんか?「a big apple」はわかるけど、「a very big apple」みたいに言葉が増えてくると、途端に自信がなくなっちゃう…。英語を学び始めたばかりの方や、中学生、高校生、そしてTOEICなどの試験対策をしている方にとっても、この冠詞の位置の問題は、意外とスッキリしないポイントかもしれませんね。
でも、大丈夫!実は冠詞の位置には、ちゃんとしたルールがあるんです。この記事では、そんな皆さんのために、冠詞 (a/an, a/the) が形容詞や副詞など、他の言葉と組み合わさったときに、どの順番で並べれば良いのかを、たくさんの例文を使いながら、わかりやすく丁寧に解説していきます。この記事を読み終わる頃には、冠詞の正しい置き場所に迷うことなく、自信を持って英文を作れるようになっているはずですよ!

冠詞の位置、いつも迷ってたから助かる~!
冠詞の基本ポジションと形容詞との関係 – 名詞のすぐ前が定位置?
まずは、冠詞が文のどこに置かれるのが基本なのか、そして名詞を修飾する形容詞とはどんな関係になるのかを見ていきましょう。ここを押さえるだけで、かなりスッキリしますよ。
冠詞の基本的な位置は「名詞の直前」
冠詞 (a/an, a/the) の最も基本的な置き場所は、それが係る名詞のすぐ前です。これは皆さんご存知の通りですよね。
- a cat (一匹の猫)
- an apple (一個のリンゴ)
- the book (その本)
- the students (その生徒たち)
冠詞は名詞とセットになって、「これは数えられる名詞の単数形だよ(a/an の場合)」とか、「これは特定の名詞だよ(the の場合)」というサインを送る役割をしています。だから、名詞のすぐそばにいるのが自然なんです。
形容詞が名詞を修飾する場合の冠詞の位置
では、名詞の前に形容詞(名詞の性質や状態を表す言葉、例: big, beautiful, interesting)がつく場合はどうなるのでしょうか?
この場合、冠詞は「形容詞 + 名詞」のカタマリのさらに前に置かれます。つまり、語順は「冠詞 + 形容詞 + 名詞」となるんです。
- a small cat (一匹の小さな猫)
→ 形容詞 small が cat を修飾しています。冠詞 a はその前。 - an interesting book (一冊の面白い本)
→ 形容詞 interesting が book を修飾。冠詞 an はその前。
※ an になるのは、直後の interesting の最初の音 /ɪ/ が母音だからですね。 - the beautiful flower (その美しい花)
→ 形容詞 beautiful が flower を修飾。冠詞 the はその前。 - the tall students (その背の高い生徒たち)
→ 形容詞 tall が students を修飾。冠詞 the はその前。
冠詞は、それが係る名詞句(名詞を中心としたひとかたまりの言葉)の先頭に立つ、と考えるとわかりやすいかもしれませんね。形容詞は名詞を修飾して名詞句の一部になるので、冠詞はその名詞句全体の前に置かれる、というわけです。
複数の形容詞が名詞を修飾する場合の冠詞の位置
名詞を修飾する形容詞が一つだけでなく、二つ以上続くこともありますよね。例えば「大きくて赤いリンゴ」とか。こういう場合でも、冠詞の位置のルールは変わりません。
冠詞は、「複数の形容詞 + 名詞」のカタマリ全体の先頭に置かれます。語順は「冠詞 + 形容詞1 + 形容詞2 + … + 名詞」となります。
- a big red apple (一個の大きくて赤いリンゴ)
→ 形容詞 big と red が apple を修飾。冠詞 a はその前。 - an old Japanese temple (一つの古い日本の寺)
→ 形容詞 old と Japanese が temple を修飾。冠詞 an はその前。 - the long winding road (その長くて曲がりくねった道)
→ 形容詞 long と winding が road を修飾。冠詞 the はその前。
ちなみに、複数の形容詞を並べる順番にもある程度の傾向がありますが、それはまた別の機会に詳しくお話ししますね。ここでは、とにかく冠詞が形容詞群の一番前に来る、ということを押さえておきましょう。
a/an の選択は直後の単語の「音」で決まる – 形容詞があってもルールは同じ
不定冠詞 a と an の使い分けは、冠詞の直後に続く単語の「最初の音」で決まる、というルールを覚えていますか?(詳しくは不定冠詞の記事を読んでみてくださいね!)
このルールは、冠詞と名詞の間に形容詞が入る場合でも同じです。つまり、a/an の選択は、冠詞の直後にくる形容詞の最初の音で判断します。
- a book (本) ← book の /b/ (子音) で a
- an interesting book (面白い本) ← interesting の /ɪ/ (母音) で an
- an apple (リンゴ) ← apple の /æ/ (母音) で an
- a big apple (大きなリンゴ) ← big の /b/ (子音) で a
- an hour (1時間) ← hour の /aʊ/ (母音) で an
- a long hour (長い1時間) ← long の /l/ (子音) で a
- a university (大学) ← university の /juː/ (子音) で a
- an old university (古い大学) ← old の /oʊ/ (母音) で an
冠詞の直後に何が来るか、その「音」に常に注意を払うことが大切ですね!スペルに惑わされないようにしましょう。

なるほど!形容詞が何個あっても、冠詞はその一番最初に来るんだね!an の使い方も納得!
副詞が形容詞を修飾する場合の冠詞の位置 – さらに複雑になる?
さて、今度は副詞(動詞や形容詞、他の副詞を修飾する言葉、例: very, really, extremely)が登場する場合です。特に、副詞が形容詞を修飾して、その形容詞がさらに名詞を修飾する、というパターンを見ていきましょう。「とても大きなリンゴ」のような場合ですね。
副詞 + 形容詞 + 名詞 の語順と冠詞
副詞が形容詞を修飾する場合、その副詞は形容詞の直前に置かれます。そして、その「副詞 + 形容詞」のカタマリが名詞を修飾します。
この場合、冠詞の位置はどうなるでしょうか?ルールは先ほどと同じです。冠詞は、「副詞 + 形容詞 + 名詞」という名詞句全体の先頭に置かれます。つまり、語順は「冠詞 + 副詞 + 形容詞 + 名詞」となるんです。
- a very big apple (一個のとても大きなリンゴ)
→ 副詞 very が形容詞 big を修飾し、big apple 全体を修飾しています。冠詞 a はその前。 - an extremely interesting story (一つ(一人)の極めて興味深い話)
→ 副詞 extremely が形容詞 interesting を修飾。冠詞 an はその前。
※ an になるのは、直後の extremely の最初の音 /ɪk/ (母音に近い始まり) ですが、発音によっては /ek/ となり母音です。 - the really beautiful painting (その本当に美しい絵画)
→ 副詞 really が形容詞 beautiful を修飾。冠詞 the はその前。
難しく感じるかもしれませんが、冠詞はあくまで「名詞(または名詞句)の始まりを示すマーカー」のようなものだと考えると、その名詞句がどれだけ長くなっても、冠詞は一番前に来る、とシンプルに捉えられますよ。
a/an の選択はやはり直後の「副詞の音」で決まる
これも先ほどと同様、不定冠詞 a/an の使い分けは、冠詞の直後にくる副詞の最初の音で決まります。
- a very tall man (とても背の高い男性) ← very の /v/ (子音) で a
- an usually quiet student (普段は静かな生徒) ← usually の /juː/ (子音) なので、これは a usually quiet student ですね!失礼しました。
正しくは、a usually quiet student です。
もし、副詞が母音で始まるなら an になります。例えば、
an often-used phrase (よく使われるフレーズ) ← often の /ɔː/ (母音) で an (often の t は発音しないことが多いです) - an exceptionally gifted child (並外れて才能のある子供) ← exceptionally の /ɪk/ (母音に近い始まり) で an
このように、冠詞の直後の単語が何であれ、その最初の音に注意することが常に重要です。
英語のリスニングやスピーキングでも、この冠詞とそれに続く単語の音のつながり (リンキング) はとても大切なんです。例えば “an apple” は「アナップル」のように聞こえますよね。
こんな副詞の位置に注意! quite, rather, such, what
ほとんどの副詞は「冠詞 + 副詞 + 形容詞 + 名詞」の語順に従いますが、いくつかの副詞は少し特別な語順をとることがあります。特に注意したいのが、quite (かなり), rather (かなり、むしろ), such (そのような), what (なんて~な) です。
quite a/an + 形容詞 + 名詞
quite は「かなり」という意味の副詞ですが、形容詞を修飾して名詞句を作る場合、「quite + a/an + 形容詞 + 名詞」という語順になることがあります。つまり、冠詞が quite の後、形容詞の前に来るんです。
- It was quite an interesting movie. (それはかなり面白い映画だった。)
(× It was a quite interesting movie. とはあまり言いません。) - She is quite a good singer. (彼女はかなり上手な歌手だ。)
ただし、”a quite interesting movie” のように「冠詞 + quite + 形容詞 + 名詞」の語順も、間違いではありませんが、”quite a/an …” の方がより一般的で自然な響きになります。
rather a/an + 形容詞 + 名詞
rather も「かなり」「いくぶん」「むしろ」といった意味の副詞で、quite と同様に「rather + a/an + 形容詞 + 名詞」の語順をとることが多いです。
- That’s rather a difficult question. (それはかなり難しい質問だね。)
- He had rather an unusual experience. (彼はいくぶん変わった経験をした。)
こちらも “a rather difficult question” も可能ですが、”rather a …” の方が好まれます。
such a/an + (形容詞) + 名詞
such は「そのような」という意味で、名詞を強調するときに使われます。この場合、語順は「such + a/an + (形容詞) + 名詞」となります。冠詞が such の後に来ます。
- I have never seen such a beautiful sight. (私はそのような美しい光景を一度も見たことがない。)
- It was such an honor to meet him. (彼にお会いできてそのような光栄なことでした。)
- Don’t be such a fool! (そんな馬鹿なことをするな!)
※ 形容詞がない場合でも such a/an + 名詞 となります。
“a such beautiful sight” や “such beautiful a sight” とは言わないので、この語順はしっかり覚えましょう!
what a/an + (形容詞) + 名詞 (+ 主語 + 動詞)! (感嘆文)
what を使った感嘆文(「なんて~なんだろう!」と感動や驚きを表す文)でも、冠詞の位置が特別です。語順は「what + a/an + (形容詞) + 名詞 (+ 主語 + 動詞)!」となります。
- What a lovely day it is! (なんて素敵な日なんでしょう!)
- What an amazing view! (なんて素晴らしい眺めなんだろう!)
- What a surprise! (なんて驚きなんだ!)
※ 形容詞がない場合。
so を使った感嘆文 “So lovely a day it is!” とは形が異なるので注意してください。 (so の場合は “so + 形容詞 + a/an + 名詞” となりますが、what を使う方が一般的です。)
these four adverbs (quite, rather, such, what) often take the article (a/an) after them, not before. This is a common point of confusion, so make a special note of it!
すいません、最後英語になってしまいました!「これらの4つの副詞 (quite, rather, such, what) は、冠詞 (a/an) を前ではなく後ろに伴うことが多いです。これはよく混乱するポイントなので、特に注意してくださいね!」という意味です。

えっ、quite とか such とか、冠詞の位置が変わるの!?これは気をつけないと!
冠詞の位置に関するその他の注意点と応用
冠詞の位置について、もう少し知っておくと役立つポイントや、少し応用的なケースを見ていきましょう。
all, both, half, double と冠詞の位置
all (すべての), both (両方の), half (半分の), double (2倍の) といった単語は、冠詞 (特に the) や所有格 (my, your など) と一緒に使われるとき、これらの単語が冠詞の前に来ます。
語順: all/both/half/double + 冠詞 (the) / 所有格 + (形容詞) + 名詞
- all the students (その生徒たち全員)
(× the all students とは言いません) - both my hands (私の両手)
(× my both hands よりも自然) - half an hour (30分、1時間の半分)
(half a loaf of bread のように a/an が続くこともあります) - double the price (その価格の2倍)
例:
- All the lights were off. (すべての電気が消えていた。)
- I hurt both my knees. (私は両膝を痛めた。)
- We waited for half an hour. (私たちは30分待った。)
- The new model is double the price of the old one. (新しいモデルは古いものの2倍の価格だ。)
この語順は決まっているので、しっかり覚えてしまいましょう。”all of the students” や “both of my hands” のように “of” を使うことも可能で、意味はほぼ同じです。
so, as, too, how + 形容詞 + a/an + 名詞
先ほど what や such のところで少し触れましたが、so (とても), as (~と同じくらい), too (あまりにも~すぎる), how (なんて~な) といった副詞が形容詞を修飾し、それがさらに単数名詞に係る場合、冠詞 a/an は形容詞の後、名詞の前に置かれるという、少し変わった語順をとります。
語順: so/as/too/how + 形容詞 + a/an + 名詞
- It was so cold a day that we stayed inside. (それはとても寒い日だったので、私たちは家の中にいた。)
(cf. It was such a cold day … / It was a very cold day …) - This is not as interesting a book as I expected. (これは私が期待したほど面白い本ではない。)
- That’s too difficult a problem for me to solve. (それは私が解決するには難しすぎる問題だ。)
- How wonderful a gift this is! (これはなんて素晴らしい贈り物なんだろう!)
(cf. What a wonderful gift this is!)
この語順は、少しフォーマルな響きがあったり、特定の構文で使われたりすることが多いです。特に so … that 構文や as … as 構文、too … to 構文などで見られます。
この “so/as/too/how + 形容詞 + a/an + 名詞” の形は、日常会話では “It’s a very cold day.” や “What a wonderful gift!” のように、より一般的な形が使われることが多いかもしれません。でも、読み物などでは出てくるので、知っておくと役立ちますよ。
名詞が省略される場合の冠詞の位置 (the rich, the first)
定冠詞 the の使い方の一つに、「the + 形容詞/分詞」で「~な人々」や「~なこと」を表す用法がありましたね (例: the rich = 裕福な人々)。この場合、名詞 (people や things) が省略されていると考えることができます。冠詞 the は、その省略された名詞に係るものとして、形容詞の前に置かれています。
- The poor need our help. (貧しい人々は私たちの助けを必要としている。)
(The poor people の people が省略されているイメージ) - He was the first to arrive. (彼が最初に到着した人だった。)
(the first person の person が省略されているイメージ)
このように、文脈から明らかな場合や、慣用的に名詞が省略されることがあり、その場合でも冠詞は残ります。
冠詞の位置で意味が変わる? – 稀なケース
基本的には冠詞の位置は上記のようなルールに従いますが、ごく稀に、冠詞の位置によってニュアンスが微妙に変わるような特殊なケースも存在しないわけではありません。しかし、英語学習初学者~中級者の方がそこまで気にする必要はほとんどないでしょう。
例えば、”a black and white dog” (一匹の白黒の犬) と “a black and a white dog” (一匹の黒い犬と一匹の白い犬、つまり二匹) のように、and で結ばれた形容詞のそれぞれに冠詞がつくかどうかで、指すものの数が変わる、といった例はあります。これは冠詞がそれぞれの名詞 (dog) に個別にかかっているか、まとめてかかっているかの違いですね。
まずは、この記事で紹介した基本的な冠詞の位置のルールをしっかりマスターすることが何よりも大切です。それができれば、ほとんどの場面で困ることはありませんよ!

all the とか so cold a day とか、新しい発見がいっぱい!冠詞って奥が深いけど面白い!
まとめ – 冠詞 (a/an, the) の正しい位置をマスターして、自然な英語へ!
今回は、英語の冠詞 a/an, the が、形容詞や副詞などの他の言葉と一緒に出てきたときに、どこに置かれるのか、その正しい位置について徹底的に解説してきました。これで、もう冠詞の置き場所に迷うことは少なくなるはずです!
最後に、冠詞の位置に関する重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 基本の位置:
- 名詞の直前: a cat, the book
- 形容詞がある場合: a small cat (冠詞 + 形容詞 + 名詞)
- 副詞と形容詞がある場合: a very small cat (冠詞 + 副詞 + 形容詞 + 名詞)
- a/an の選択:
- 常に冠詞の直後にくる単語の最初の音で決まる。
- 特別な語順をとる副詞:
- quite a/an + 形容詞 + 名詞
- rather a/an + 形容詞 + 名詞
- such a/an + (形容詞) + 名詞
- what a/an + (形容詞) + 名詞 (+ 主語 + 動詞)! (感嘆文)
- so/as/too/how + 形容詞 + a/an + 名詞
- all, both, half, double など:
- これらの単語が冠詞 (the) や所有格の前に来る。 (例: all the students)
冠詞の位置は、一見複雑そうに見えるかもしれませんが、基本的なルールといくつかの例外パターンを押さえてしまえば、必ず理解できます。そして、何よりも大切なのは、たくさんの英語に触れて、実際に自分で使ってみることです。
最初は意識しないと間違えてしまうかもしれませんが、練習を重ねるうちに、自然と正しい語順が身についてきますよ。冠詞の正しい位置をマスターすれば、あなたの英語はもっと自然で、もっと正確なものになるはずです。焦らず、楽しみながら学習を続けていきましょう!
この記事が、皆さんの英語学習の一助となれば、本当に嬉しいです!

冠詞の位置、バッチリ理解できた気がします!これで作文も怖くない!
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