不定詞の時制と態を完全攻略!完了形や受動態の形と意味

不定詞の3つの用法(名詞的・形容詞的・副詞的)、だいぶ分かってきましたか?「to + 動詞の原形」が色々な働きをするのは面白いですよね! でも、”He seems to have finished his work.” とか “This work needs to be done by tomorrow.” みたいに、不定詞の形が “to do” じゃなくて、”to have done” や “to be done” になっているのを見ると、「あれ?これはどういう意味なんだろう?」「普通の to do と何が違うの?」って、また新しい壁にぶつかっちゃうこと、ありませんか?

不定詞にも、実は「時制(いつのことか)」や「態(するのか、されるのか)」という考え方があるんです。この形が変わると、文全体のニュアンスも変わってくるので、しっかり理解しておきたいですよね。この記事では、そんな不定詞の「時制」と「態」について、基本的な考え方から、完了不定詞 (to have done) や受動態不定詞 (to be done / to have been done) の作り方、意味、そして使い分けまで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説していきます!これを読めば、複雑そうに見える不定詞の形も怖くなくなり、英文の読解や表現がもっと正確になりますよ!

AYUMI
AYUMI

to have done とか to be done とか、形が難しくなるともうお手上げです…。意味もよく分からないし…。

不定詞の「時制」とは?単純不定詞と完了不定詞の違い

まずは、不定詞が「いつ」の動作や状態を表しているのか、という「時制」の考え方から見ていきましょう。不定詞の時制は、それが使われている文全体の時制(特に主節の動詞の時制)との関係で決まる、という点が大きなポイントです。

不定詞の時制は「主節の時制」が基準!相対的な時間関係

最初に理解しておきたい大切なことは、不定詞そのものが独立した時制(現在形、過去形など)を持っているわけではない、ということです。不定詞が示す時間は、あくまでそれが含まれる文の主節(メインの文)の動詞が示す時を「基準」として、それと比べて「同じ時」なのか、「より前の時」なのか、という相対的な関係で表されます。

例えば、「彼は金持ちだったようだ」と言いたい場合、「~のようだ」という現在の推量 (He seems…) に対して、「金持ちだった」という過去のことを不定詞で表現する必要がありますよね。こういう時に、不定詞の時制の形が重要になってくるんです。

不定詞の時制を表す形には、大きく分けて「単純不定詞」「完了不定詞」の2種類があります。

単純不定詞 (to do) が示す時制:主節と同じ時、または未来

まず基本となるのが、単純不定詞(Simple Infinitive)、つまりおなじみの「to + 動詞の原形」の形です。

単純不定詞が示す時制は、原則として主節の動詞が示す時と「同じ時点」の動作や状態、あるいはそれよりも「後(未来)」の動作や状態を表します。

【主節と同じ時の例】

  • He seems to be happy now. (彼は今、幸せそうだ。)
    • 「幸せそうだ (seems: 現在)」と「幸せである (to be)」のは同じ現在の時点
  • She appeared to know the answer then. (彼女はその時、答えを知っているようだった。)
    • 「~のようだった (appeared: 過去)」と「知っている (to know)」のは同じ過去の時点
  • It is important to tell the truth. (真実を話すことは重要だ。)
    • 「重要だ (is: 現在)」と「話すこと (to tell)」は、一般的なこととして同じ時間軸上で考えられる。

【主節より後(未来)の例】
特に、want, hope, plan, decide, expect, promise など、未来志向の意味を持つ動詞の目的語として使われる場合、不定詞は主節の時点よりも「後(未来)」の動作を表します。

  • I want to go to Hawaii next year. (私は来年ハワイに行きたい。)
    • 「行きたい (want: 現在)」と思っているが、「行く (to go)」のは未来のこと。
  • He decided to quit his job. (彼は仕事を辞めることを決めた。)
    • 「決めた (decided: 過去)」が、「辞める (to quit)」のはその決定よりも後(過去の時点での未来)
  • We promise to help you. (私たちはあなたを助けることを約束します。)
    • 「約束する (promise: 現在)」が、「助ける (to help)」のは未来のこと。

このように、単純不定詞 (to do) は、文脈によって主節と同じ時、またはそれより未来を表す、というのが基本です。

完了不定詞 (to have + 過去分詞) が示す時制:主節より「前の時」!

では、不定詞で主節の動詞が示す時よりも「前のこと」を表したい場合はどうするのでしょうか? その時に登場するのが完了不定詞(Perfect Infinitive)です!

【形】
to have + 過去分詞 (例: to have finished, to have seen, to have been)

【意味】
完了不定詞は、主節の動詞が示す時よりも「前の時点」に完了した動作、経験、またはその時点まで続いていた状態を明確に表します。「(主節の時より前に)~したこと」「~だったこと」というニュアンスです。

【例文で確認】

  • He seems to have been rich when he was young. (彼は若い頃、金持ちだったようだ。)
    • 「~のようだ (seems: 現在)」よりも、「金持ちだった (to have been rich)」方が前(過去)
    • 単純不定詞なら: He seems to be rich now. (彼は今、金持ちのようだ。) となり、意味が変わります。
  • She appears to have forgotten our promise. (彼女は私たちの約束を忘れてしまったようだ。)
    • 「~のようだ (appears: 現在)」よりも、「忘れた (to have forgotten)」方が前(過去または現在までの完了)
  • I am sorry to have kept you waiting so long. (こんなに長くお待たせしてしまって申し訳ありません。)
    • 「申し訳ない (am sorry: 現在)」と思う原因となった「待たせた (to have kept)」行為は、それより前(過去から今まで)
  • He pretended to have read the book, but he actually hadn’t. (彼はその本を読んだふりをしたが、実際には読んでいなかった。)
    • 「ふりをした (pretended: 過去)」よりも、「(その前に)読んだ (to have read)」という内容について述べている。
  • This temple is believed to have been built in the 8th century. (この寺は8世紀に建てられたと信じられている。)
    • 「信じられている (is believed: 現在)」よりも、「建てられた (to have been built)」方がはるか前(過去)。※これは完了形の受動態不定詞ですね。後で詳しく見ます。

このように、完了不定詞 (to have done) を使うことで、主節の時制との「時間のずれ」をはっきりと表現することができるんです。

完了不定詞を使うのはどんな時?

必ずしも主節より前のことを言うときに完了不定詞を使わなければならないわけではありません。文脈から明らかに前後関係が分かる場合は、単純不定詞が使われることもあります(例: I am glad to meet you. 「会った」のは「嬉しい」のより前だが、通常 to have met とはしない)。

完了不定詞が特に使われるのは、以下のような場合です。

  • 時制のズレを明確に示したい場合: 特に seem, appear, pretend など、現在の状態や過去の行為が、それより前の出来事に基づいていることを示したいとき。
  • 過去の行為に対する現在の感情や謝罪を表す場合: (例: I’m sorry to have troubled you.)
  • 完了や経験のニュアンスを強調したい場合:

単純不定詞で十分な場合も多いですが、完了不定詞を使うことで、より正確な時間関係を伝えられる場面がある、と覚えておきましょう。

単純不定詞と完了不定詞の使い分け、ちょっと難しいです… いつも完了形にする必要はないんですね?

その通りです!特に want to do や decide to do のように未来のことを表す場合や、It is important to do のように一般的なことを言う場合は、単純不定詞を使います。完了不定詞は、あくまで「主節より前のこと」をはっきり示したい時に使う、特別な形だと考えてください。基本は単純不定詞で、必要に応じて完了不定詞を使う、という感覚で大丈夫ですよ。

時制の見分け方のポイント:形と文脈で「時間のズレ」を確認!

不定詞の時制を見分けるには、以下の2ステップで考えましょう。

  1. 不定詞の形を確認する:
    • to do (単純不定詞) か? → 主節と「同じ時」または「未来」の可能性が高い。
    • to have + 過去分詞 (完了不定詞) か? → 主節より「前の時」を表している可能性が高い。
  2. 文脈で確認する:
    • 主節の動詞の時制は何か?(現在?過去?)
    • 不定詞が表す動作/状態は、主節の時制と比べて、同時なのか、後なのか、前なのか?
    • 形と文脈が一致しているか?

特に、完了不定詞 (to have done) が出てきたら、「あ、これは主節よりも前の話をしているんだな」と意識することが重要です。読解の際に時間の流れを正確に捉えるのに役立ちます。

時制の理解は、英語の文を深く正確に読み解くための鍵となります。単純形と完了形の意味の違いをしっかり掴みましょう!

AYUMI
AYUMI

単純形は「同じか未来」、完了形は「前」!すごく分かりやすいです!これで to have done の意味が掴めました!

不定詞の「態」とは?能動態と受動態の不定詞を使いこなす!

次に、不定詞の「態(たい)」、つまり「能動態(~する)」と「受動態(~される)」について見ていきましょう。これも不定詞の形に関わる重要なポイントです。

不定詞の態は「意味上の主語」との関係で決まる!

不定詞が能動態になるか受動態になるかは、その不定詞が表す動作を「誰が(何が)するのか」という「意味上の主語」との関係によって決まります。

意味上の主語 (Subject of the Infinitive) とは、形の上では文の主語(S)ではなくても、意味の上でその不定詞の動作主となる人や物のことです。

  • 多くの場合、意味上の主語は文の主語(S)と一致します。
    • 例: I want to buy a new bag. (新しいカバンを買いたい。)→ 買うのは「私(I)」。
  • 「It is ~ for 人 to do」の構文では、for の後ろの人が意味上の主語になります。
    • 例: It is important for you to study hard. (あなたが一生懸命勉強することが重要だ。)→ 勉強するのは「あなた(you)」。
  • 目的語に不定詞をとる一部の動詞 (want O to do, tell O to do など) では、目的語(O)が意味上の主語になります。
    • 例: I want you to come with me. (私はあなたに一緒に来てほしい。)→ 来るのは「あなた(you)」。
  • 文脈から判断する場合もあります。

この意味上の主語を見つけて、その主語が不定詞の動作を

  • 「する」側であれば → 能動態の不定詞 (to do / to have done) を使う。
  • 「される」側であれば → 受動態の不定詞 (to be done / to have been done) を使う。

というルールになっています。

能動態の不定詞:「する」側の動作を表す (to do / to have done)

意味上の主語が動作を「する」側である場合は、能動態の不定詞を使います。これは、私たちがこれまで見てきた不定詞の基本的な形です。

  • 単純能動不定詞 (to do): 主節と同じ時・未来の「~すること」「~する」
    • I decided to study abroad. (私は留学することを決めた。)
      • 意味上の主語は I。「私」が study する。
    • It is fun to play soccer. (サッカーをすることは楽しい。)
      • 意味上の主語は一般の人、または文脈による。「(人が)サッカーを」する。
    • He has the ability to solve the problem. (彼にはその問題を解決する能力がある。)
      • 意味上の主語は He。「彼」が solve する。
  • 完了能動不定詞 (to have done): 主節より前の「~したこと」「~した」
    • She seems to have enjoyed the party. (彼女はパーティーを楽しんだようだ。)
      • 意味上の主語は She。「彼女」が enjoy した。
    • He denied to have stolen the money. (彼はお金を盗んだことを否定した。)
      • 意味上の主語は He。「彼」が steal した。

意味上の主語が動作主となっていることを確認しましょう。

受動態の不定詞:「される」側の動作を表す (to be done / to have been done)

意味上の主語が動作を「される」側である場合は、受動態の不定詞を使います。受動態の不定詞にも、単純形と完了形があります。

1. 単純受動不定詞 (to be + 過去分詞):主節と同じ時・未来の「~されること」

【形】
to be + 過去分詞 (例: to be loved, to be built, to be seen)

【意味】
主節の動詞と同じ時点、またはそれより後(未来)で「~されること」「~されるべき」という意味を表します。

【例文】

  • I want to be loved by everyone. (私はみんなに愛されたい。)
    • 意味上の主語は I。「私」が love される側。
  • This house needs to be painted soon. (この家はすぐに塗装される必要がある。)
    • 意味上の主語は This house。「家」が paint される側。
  • There is a lot of work to be done today. (今日、されるべき仕事がたくさんある。)
    • work を修飾する形容詞的用法。「仕事」が do される側。
  • He doesn’t like to be treated like a child. (彼は子供のように扱われるのが好きではない。)
    • 意味上の主語は He。「彼」が treat される側。
  • The rule is to be followed by all members. (その規則は全メンバーによって従われるべきだ。)
    • be to不定詞の受動態。「規則」が follow される側。

「be + 過去分詞」という受動態の基本形が、そのまま to の後ろにくっついた形ですね。

2. 完了受動不定詞 (to have been + 過去分詞):主節より前の「~されたこと」

【形】
to have been + 過去分詞 (例: to have been invited, to have been built, to have been misunderstood)

【意味】
主節の動詞が示す時よりも「前の時点」で「~されたこと」を表します。

【例文】

  • This castle is said to have been built 500 years ago. (この城は500年前に建てられたと言われている。)
    • 意味上の主語は This castle。「城」が build されたのは、「言われている(is said: 現在)」より前。
  • He seems to have been misunderstood by his friends. (彼は友人たちに誤解されていたようだ。)
    • 意味上の主語は He。「彼」が misunderstand されたのは、「~のようだ(seems: 現在)」より前。
  • She was lucky to have been rescued from the fire. (彼女はその火事から救助されて幸運だった。)
    • 意味上の主語は She。「彼女」が rescue されたのは、「幸運だった(was lucky: 過去)」のと同じか、それより前(完了形を使うことで前後関係を明確にしている)。
  • The package appears to have been opened before it arrived. (その小包は到着する前に開けられていたようだ。)
    • 意味上の主語は The package。「小包」が open されたのは、「~のようだ(appears: 現在)」より前。

完了形 (have + 過去分詞) と受動態 (be + 過去分詞) が組み合わさった形ですね。「have + be動詞の過去分詞 (been) + 動詞の過去分詞」という完了受動態が to の後ろに来ている、と考えればOKです。

完了受動不定詞 (to have been done) は、形が長くて少し難しく見えますが、分解して考えれば怖くありません。「主節より前」で「~された」ことを表すんだな、と理解しましょう。

態の見分け方のポイント:「意味上の主語」を探して「する/される」を判断!

不定詞の態(能動か受動か)を見分ける、あるいは自分で正しく使うための手順をまとめます。

  1. 不定詞の意味上の主語を特定する。(文の主語? for 人? 目的語? 文脈?)
  2. 意味上の主語と不定詞の動作の関係を考える。
    • 意味上の主語が動作を「する」能動態 (to do / to have done)
    • 意味上の主語が動作を「される」受動態 (to be done / to have been done)

この2ステップを常に意識することが、不定詞の態をマスターする鍵です!

例: “The report needs ( finish / to finish / to be finished / to have been finished ) by 5 PM.” という問題があったら…

  1. 不定詞の意味上の主語は? → 文の主語である “The report” (レポート)。
  2. レポートと finish (終える) の関係は? → レポートは自分で終えるのではなく、「終えられる」側。→ 受動態!
  3. 時制は? → 「5時までに終えられる必要がある (needs: 現在)」。終えるのは未来のことなので、単純形でOK。
  4. 結論 → 単純受動不定詞 to be finished が正解!

このように、意味上の主語との関係と、主節との時制関係の両方を考えることで、正しい不定詞の形を選ぶことができます。

意味上の主語を見つけるのが難しい時があります…

そうですよね、文によっては少し分かりにくい場合もありますね。基本的な考え方としては、まず文の主語(S)が意味上の主語ではないかと考えます。もし違うようであれば、「for 人」や目的語(O)がないか探します。それでも特定できない場合(特に形容詞的用法や副詞的用法)は、文脈全体から「誰が(何が)その動作をするのか」を推測する必要があります。これは慣れも必要なので、色々な文を見て練習していきましょう!

AYUMI
AYUMI

受動態の不定詞、形がややこしい…!特に完了受動不定詞!でも、意味上の主語との関係で判断するっていうのは分かりました!頑張って練習します!

まとめ:不定詞の時制と態をマスターして正確な英語へ!

今回は、不定詞の「時制」と「態」という、少し応用的ながらも非常に重要なテーマについて、基本的な考え方から具体的な形、使い分けまで詳しく解説してきました。最後に、今回の学習ポイントをまとめて、しっかり頭に入れましょう!

  • 不定詞の「時制」:主節の時制との相対的な時間関係を表す
    • 単純不定詞 (to do): 主節と同じ時 または 未来
    • 完了不定詞 (to have + 過去分詞): 主節より前の時
    • 見分け方:形(単純か完了か)と文脈で判断。
  • 不定詞の「態」:意味上の主語との関係で決まる
    • 意味上の主語(不定詞の動作主)を特定する。
    • 意味上の主語が動作を「する」能動態の不定詞。
      • 単純能動: to do
      • 完了能動: to have done
    • 意味上の主語が動作を「される」受動態の不定詞。
      • 単純受動: to be + 過去分詞
      • 完了受動: to have been + 過去分詞
  • 4つの基本形:
    • to do (単純能動)
    • to have done (完了能動)
    • to be done (単純受動)
    • to have been done (完了受動)
  • →これらの形と、「いつ」「誰が/何が」「する/される」のかを正しく結びつけることが重要!
  • ポイント:不定詞の時制と態を正しく理解し使い分けることで、より正確でニュアンス豊かな英語表現が可能になる。

不定詞の時制と態は、形が少し複雑になるため、最初は難しく感じるかもしれません。しかし、それぞれの形が持つ「時間的な意味(いつ?)」と「態的な意味(する?される?)」のルールをしっかり理解すれば、決して怖くはありません。

特に完了不定詞や受動態不定詞は、英文読解で文の前後関係や意味を正確に捉えるために不可欠な知識です。また、英作文やスピーキングで使えれば、より高度で正確な表現が可能になります。

今回学んだことを土台にして、たくさんの例文に触れ、それぞれの不定詞がどんな時制・態を表しているのかを意識的に考える練習を続けてみてください。きっと、不定詞の使いこなしレベルが格段にアップしますよ!

AYUMI
AYUMI

時制と態、両方考えると頭がこんがらがりそうだったけど、整理してもらえてスッキリしました!4つの基本形、しっかり覚えます!

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